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05
 
 
今はもう放課後。
昼休みは、忍先輩がきてなくてナオがぶー垂れていた。
そして生徒会の仕事が忙しいらしく泉川先輩も来なかった。

俺は昨日みたく天馬先輩の間に座らされたし、ミケは先輩なんて関係ねえみたいに笑って話すし、トモは英二先輩にいじられてるし半泣き状態だし、美桜先輩は後から来てまたリョウをガン見していた。
最初に比べて大人しいよな、美桜先輩…それよか影薄いだけな気がする。






ミケはバイトでナオたちもみんな帰ってしまって、今は一人教室で、先輩を待っている。

ガラリと教室の後ろのドアが開いた。そこに目をやると天馬先輩がいた。


「行くぞ、秋人」

「あ、あの…」

俺が言うと、なんだ?と目で言う先輩。


金曜日は用事がある。
家の近くの保育園で子どもたちと遊ぶ約束。俺は小さい子が好きだし、将来は保育士になりたいと思っているから。



「今日は……」

「ああ、保育園か」



え?と驚いて先輩を見れば、また後で説明すると言われ、足早に教室を去ることになった。







「あきせんせー!」

「だっこー!」

「あっずるい!せんせー!!あたしもしてー」


子供は、かわいい。
頬を緩めて頭をなでてやると太陽のような笑顔で笑い、見ていて楽しくなるし嬉しくなる。




「・・・」


何時もと違うのはなんでか天馬先輩が隣にいるからだ。

ちらりと横を見てみると天馬先輩もこっちを見ていたようでバチリ、と効果音が付きそうなように目があった。
瞬間、天馬先輩がふわりと綺麗に笑う。ああ、いつみても綺麗だな。



「秋人くん、いつもありがとうね」

「あ、園長先生!」

声をした方を見ると、にこりと穏やかに笑う園長先生がいた。もう年なのにいつも子どもたちと遊んでいる、優しい人。
白いワンピースに淡い橙色の上着に「花咲保育園」と書いてあるエプロンがよく似合っている。
俺はこの女性に憧れて、保育士を目指すようになったんだ。

園長先生はふと俺の隣にいた天馬先輩に気づいたようで。

「あら、和真くんのお兄さん。二人が一緒にいるって事は…ふふ、良かったわね」

「…ども」


あれ?知り合い?
てか和真くんて、あのかずくん?


俺が軽く混乱していると遠くの方で誰かが、俺の名前を言っているのに気が付いた。





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