03 今日も先輩と一緒に学校まで行く。バイクだった昨日とは違って、今日は歩きだ。繋がれた手は恋人繋ぎで恥ずかしいやら恐れ多いやら。 それから少し人通りの多い道に出ると、やはり歩く度にちくちくと人の視線が突き刺さった。 なんだ、あの普通のは。鬼塚さんと手なんか繋いで。不釣り合いなんだよ、どけよ。 嫌悪や好奇の視線が、身体的なものではないけれど痛い。 耐えかねて握っていた先輩の手を離そうとしたが、それを阻止するかの様に強く握られた。 「見てんじゃねえ」 天馬先輩が一言言えば、たちまち突き刺さっていた視線は折れた。 ほっとして天馬先輩を見上げるとくしゃりと頭をなでられた。 「あんま無理すんなよ」 綺麗に笑う天馬先輩が異様にきらきらしてて目が離せなかった――… 「はい、ストッープ」 ミケの声で我に変えると、天馬先輩との間は僅か10pしかなかった。 慌てて天馬先輩から顔を離すと、あからさまにチッと舌打ちをしてミケを睨みつけた。 いやん、怖いぜ。 「先輩さぁ、ちゃんと場所わきまえてやってよ。…後で嫌な思いをするのはあんたじゃなく、アキなんすから」 多少天馬先輩の超絶怖い睨み付けにビクつきながらも、ミケは言った。 ん? 「場所わきまえてやってよ」……? 「つまりぃー、人目に付かない場所だったらミケ君はおけーなわけ?」 英二先輩が俺の心の疑問を変わりに言うかのように、ミケに言った。 「イエス!」 あ、なんかむかつく。 とりあえず、ミケを軽く小突いた後俺たちは登校を再開した。 随分、学校まで時間かかってるけど早めに家出たし問題はなしだ。 「悪かったな」 「…いえ、」 嫌だと思わなかった自分にも小突きたくなった。 確実に、変化していく。 [前へ] [次へ] [戻る] |