THE金曜
目を覚ますと目の前には見慣れた天井だった。
「あれ?」
どうして俺は、家にいるんだろうか。
まだならない目覚まし時計を見ると5:40だった。
頭がぼーっとしてなんだか疲れている。
どこまで記憶があるのかを調べるために道を辿った。
たしか、昨日の放課後は先輩と一緒に――…
「アキッ!!
おーはーよっす!」
ばん、といきなり部屋に入って来たのは幼なじみであるミケだった。
いきなりの登場に驚いている間にミケが詰め寄ってきた。
「なーなー!昨日さー、何があったわけー?」
「おはよ…、てか何がって…な、何があるんだよっ」
「アヤシイ…」
じーっと見つめてくるミケを上から退かしてベットから降りた。
ミケって普段は鈍感なくせにこういう気付かれたくない時に限って鋭いんだよね。
てゆーか、俺、俺――…
あの、天馬先輩とちゅーしちゃったんだぁ。
綺麗だったな、と赤面し着替えを始めた。
あんなに綺麗なのに、怖いオーラ出して眉間にしわ寄せてるなんてもったいない。
着替え終わり、ミケと共に階段を降りていくと姉ちゃんが朝ご飯の準備をしていた。
おはよ、と声をかけるとミケと同じく、じとーっと俺を探るようにして見つめてきた。
「な、なに!?」
「…あの銀髪とどーゆう関係?」
どきり、とした。
天馬先輩と俺との関係は一応、恋人という位置にあるらしい。
だけれど、一般的に男と男は認められていない。
「え、えと…ですねー」
姉ちゃんだって少なからずそういう世界があるのを知っている。だけど、身内となったら違うだろう。
なにも言わない俺に諦めたのか飽きたのか、顔洗って来なさいとさいばしで洗面所を指した。
歯磨きしながら昨日のことを思い出そうとした。
先輩と、キス。
「熱かった、なー」
思えばファーストキスだった。
だけれど別に嫌な感じは不思議としなかった。
先輩だからだろうか。
「好き、なのかなあ」
空を見つめながら一人、呟いた。
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