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02
 
 
「秋人さんは何になさいますか?」

「じゃあ、えと、エスプレッソで」

「かしこまりました、少々お待ち下さい」


綺麗な礼をして誠さんが出て行った。




奥の部屋はとても綺麗で、軽く10人は座れるんじゃないかというふかふかのソファになんか高級そうなガラス張りの机、それにテレビとか冷房暖房完備してある。


ていうかさ、店は一応普通だったよな、店は。

店員さんやお客さんが普通じゃなかった。
詳しくは怖くて説明できない。



「秋人、」

「あ、へ?なんですか?鬼塚先ぱ、」

自分の世界に浸っているとふいに鬼塚先輩に話しかけられたが、ぐいと腕を引っ張られ先輩の腕に抱きしめられた。


「な、なな、何してっ」

「天馬」

「え?」


いきなり何を、そう思って上を見上げるがすぐに俯いた。

ち、近すぎたっ!!



「天馬、って呼べ」

「む、無理です」

だってだってだって!
あなた様みたいな人を名前で呼ぶなんて。
俺みたいな平民が。

ぎゅ、と抱きしめる力が強くなった。
それでも壊れないようにゆっくりと、だ。


愛されてるって恥ずかしい。



「あいつ、英二は名前で呼ぶのにか」

「え、英二せんぱ、」


またも遮られた。
でもそれ所じゃない。




俺、先輩とキスしてる。







「ん、」

ただ単に、口をくっつけるだけ。
子供がやるような、そんなちっさなキスだ。


ぼんやり口を付けながら先輩と至近距離で見つめ合う。



「てんま、せんぱい」

口を少しだけ外してから声を出す。
小さな小さな声だったけれど、至近距離にいた先輩には聞こえたようだ。



「秋人、好きだ」

今度は熱いキス。
やばいやばい、なんか俺、変だ。


同じように付けるだけだけれど、獰猛で乱暴で、とても熱い。
頭がくらくらする。



「あんまり、俺を嫉妬させるなよ」


嫉妬、ああ、俺なんかにもったいない。
あまりにも綺麗だから目眩がした。



もう一度口づけられて、足の間に座らされた。
それから赤くなっている俺の首筋や耳を噛んだり舐めたり口付けたり。
髪を撫でてすいてまた口付けて。


飽きないのかなあ。
というか俺、抵抗しなかったな。

嫌ではなかった。

あんなに綺麗なものを拒めるわけない。


不可抗力なんだもの。

ゆっくりと目を閉じた。




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