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03
 
 
永遠に来なければ良いと思っていた昼休み。

不安だと思う心とは裏腹に体は正直なようでぐーと小さく鳴っていた。



キーンコーンカー…
ガラッ

鳴り止まないうちに例のあの人が教室のドアを思い切り開けた。本人はそう思っていないかもしれないが。


「秋人、」

「うえっ…」


どうしようっ
まだ先輩にどう言おうか考え中なのにー!!

ちらりと自分の前に座るミケを見ると行け、と目で言われた。


恐る恐る立ち上がり、先輩の方へ進む。



「あ、あの…先輩!」

思い切って先輩を見上げ、声をかけた。


「どうした?」

先輩の鋭い目が、ふいに優しく笑った。


そんな先輩に赤くなりつつも用件を言う。

「と、友達も一緒じゃ駄目ですか…?」

俯きながらちらりと先輩を見た。なんだか、先輩の顔が赤い気がするのは気のせいだろう…


断られるだろうなと思っていたが、返ってきたのは予想外の言葉だった。





「どいつだ」

「え?あ、あの四人です…」
 
四人を指して言うと、先輩はぎろりと4人を睨んだ後、良いぞと言った。


「へへへ…ありがとうございます!」

まさか、OKだとは。
嬉しくなり先輩を見て笑うと先輩も優しく笑ってくれた。


なんてかっこいいんだろう。
同じ男として、本当に、羨ましい…






「ラブラブしてるとこ悪いっすけど、注目浴びてるし、飯買いに行かなきゃなんで早く行きませんか?」

ミケが口調とは裏腹にニコニコしながら言った。

そう言われてみれば、みんなに見られてるっ
はずい…

それに鬼塚先輩は有名人だし、注目を浴びるのは当然で、そしてこんな平凡野郎に優しく笑ってるのだから。




先輩はチッと不機嫌そうに舌打ちすると、周りを睨んだ。
途端にみんなが目を背ける。好奇心よりも恐怖が勝っているのだ。




「いくぞ」



引かれた手は優しく握られていた…





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