02
「ばっか、すっげえ噂になってんぜ?…それに俺ら、朝アキがバイクの後ろに乗って奇声発してるとこ見たしな」
「う、うん」
でかい男から現れたのは小さな男だった。
トモ、鈴木智也だ。
色素の薄い天然のふわふわの髪を短く切っていて、眉はいつも下がっていて常時困り顔であった。
性格は困った人を見過ごせない正義感あふれる?のだが、自分がさらに困ったことになる。
なのに、こいつはキング オブ チキンなのだ。
トモは心配そうな目でこちらをちらちら見ていた。
「大丈夫だよ、多分」
「だから、その"多分"が心配なんだって…」
ナオに言われて俯く。
だけれど、俺が見たは先輩は本当に優しくて、格好良かった…
「とりま、様子見ようぜ…今日昼休みまた来るってことは一緒に飯食うんだろ?その時俺らも一緒に行くわ」
ミケがんんーと唸りながら言った。
ナオを見ると笑って頷いていたし、トモは少し震えながら行くよ、と言った。
「じゃあ俺も行く」
振り向いた先に居たのは少し長いくせのある黒髪を鬱陶しそうにし、緑斑眼鏡をかけた、学級委員長の西岡涼だった。
リョウも仲の良い友達の一人だ。
「あ、リョウ…?」
「はよ」
「…おはよ」
俺の心を見破るように俺の頭を数回軽くたたき、ミケの前の席に鞄を置き、椅子を引いた。
「リョウくんも来るの?大丈夫なの?」
「ああ、」
トモが心配そうに話しかけるがリョウは微笑して言うだけだった。
ナオとトモは幼なじみで、二人とリョウは同じ中学で一年から仲が良かったらしい。
俺とミケも同じ中学だが、三人とは別だ。
「じゃ、昼休み行くからって先輩に伝えとけよ」
「えぇ!?俺が言うの!!?」
「「当たり前」」
ミケの言葉に仰天すると、ナオも一緒に言った。
「分かるだろ?俺らから先輩に言ったって機嫌悪くするだけだしな」
「そうそう。お願いっ先輩vてな感じで言え」
はたから見たら真面目にお願いしているように見えるが、二人の目は完全に笑っている…
はあ、と小さくため息をついて諦めた。
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