02
「うわお…」
件名にははっきりと鬼塚天馬の文字があった。
内容はというと…
『一緒に行く。7時半に家の前で待ってろ』
「まじかよ…」
眠れなくした原因が、またもやってきた…。
あの後、ほぼ泣き顔の俺に鬼塚天馬はあろうことかキスしてきた。
もちろん唇じゃなく、額にだ。
「ひゃっ」
微かな重みと柔らかさが心地よい、なんて…きっとこの人が凄すぎるから、不可抗力だと思う。
「秋人、」
「せんぱい…?」
190cmの長身に驚いた。
近くで見るのと遠くから見るのではこれほど違うのかと。
「かっこいい…」
俺だけに微笑まれた。
そう出ちゃうのだって不可抗力なんだ。
ぽーっと見つめていると鬼塚天馬がバッと顔を背け、口を手で覆った。
「……っ!」
「え?え?」
いきなりなんだ?
まさか俺の顔があまりにキモすぎてか!?
それも不可抗力だ馬鹿ぁあああ!!
「携帯貸せ、」
「あ、どぞ」
鬼塚天馬に携帯を渡す…まさかベキッとかねえよな…
そんな心配をしつつ、鬼塚天馬を見るとなにやらカチカチやっている。
ちなみに俺の携帯は白だ。汚れが目立つかもだけど、これに一目惚れしたんだ…!
「ん、」
「あ、ども」
優しく手渡され、携帯をポケットに入れた。
確認するのは夜にしよう…
気が付くと、もう日は完全に沈もうとしていた。
やばい、と思った俺の雰囲気が分かったのか、鬼塚天馬が言った。
「帰るぞ。遅いし、送ってくから」
「え、いや良いです!」
精一杯遠慮していると先輩がきびすを返した。
諦めてくれたのかな、と思いきや…
「鞄取りにいくぞ」
無視かっ!
無視なのかっ!!
まあ、そんなこんなで家まで送られ、次は頬にキスを貰いました。
正直、少女漫画かってツッコミたかったです。
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