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鼻先で示せば渋々頷いて立ち上がろうとする二匹。

どうやら桃色の方が怪我で上手く立ち上がれないらしい。セインがそれに気付いて近付くと睨まれた。

〔少しやり過ぎたな…すまない。〕

〔そう思うくらいなら、少しは手加減してほしいわ。〕

〔これでも手加減していたのだがな……今治す〕


フンッと鼻で笑う桃色にセインがすまなそうに目を伏せて言うと意識を集中した。


フワ…ッと暖かい光がセインの身体から溢れ出たかと思うと桃色の傷口に集まってゆく。
みるみるうちに傷口が塞がり、完治するまでになった。


〔…これで大丈夫だろう。〕


〔凄いのね…痕も残らないわ。貴方なら私の夫にしてもいいかもしれないわね?〕

〔やめておけ。互いに苦労するだけだ〕


それもそうね、と笑う桃色にふと思い出した様に尋ねた。

〔そういえば《女王》と言っていたな、知っているのか?〕


〔知ってるよ、アタシ達の中で一番偉い人。〕

〔あのお方には逆らえないのよ。まぁ、魅力的なお方だから逆らおうだなんて思わないけど。〕



〔所で…アンタは一体何なの?人間を助けるし、龍も助ける…一体どっちの味方なのよ。〕


話終わった所で薄茶色が不機嫌そうに尋ねてきた。
セインは暫く目を瞬かせると少女に歩み寄り、怪我を治癒しながら

〔どちらの味方でもない…どちらも、同じ存在だから。

人を愛するか、龍を愛するか…魔をも愛するか。どれも私にとっては同じことということだ。〕


〔私達には難しいわね…まぁいいわ。争いでも始まったら止めてくれるのかしら?〕

〔あぁ…私の名に誓って争いを止めるよう動く。〕


〔断言はしないのね。〕

〔断言はできないからな…。


これ以上私と共に居ると都合が悪くなるんじゃないか?〕


ちら、と背後に目線を遣りながら言うと無言で頷き翼を広げる気配。


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