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「セイン、危ないから逃げて!!暫くは帰って来なくていいから!」
「言われずとも!」
「ぁあっ!?ちょっ…逃げんなって!」
ソルティアの言葉と同時に全力ダッシュで部屋から飛び出したセインと外で待機していたそれを唖然と見送るラルフ達。
「一体何があったんだ…?」
「死活問題なんじゃないか?」
「あの会話の中で!?」
「セインがあんなに必死に逃げるのは…普通、まずないからな。」
うはぁ…と既に見えなくなってしまったセインの方を見る三人であった。
*****
セインside
全力疾走で街中を駆け抜け、背の高い草が生い茂る草原へと入っていったセインは誰も居ないことを確認して小さめの白龍へと姿を変えた。
〔ここまでやれば追ってこれないだろう…。〕
少し荒くなった息を落ち着かせながら草の影に隠れて歩き回る。
〔ん?〕
長い尾をぴんっとさせて前方を見れば怪我をしたのだろう、子供がうずくまって倒れていた。
(見捨てる訳にはいかない…よな。だがどうする…?)
ギリギリまで近付いて見れば小さな女の子だ。
しかし龍の姿をしているセインには躊躇われた。人の姿になれば楽なのだが、メシアが地味に怖い。
(……悩んでいても仕方がないか…)
〔大丈……〕
〔アレェ?こんな所に人間の子供が倒れてるよォ〕
〔あら本当、どうしちゃう?〕
突然現れた二匹の龍にセインは出かけた体を低くして草に隠れる。
(これは不味いな…雌の龍か…)
雌の龍は人間を憎んでいる。
少女にとっての良い展開はまず望めない。
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