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「もうアジトのすぐそこまで来てしまったんだ、諦めろ。」

ニヤァリ、と嫌な笑みでラルフの肩に手を置くトバリ。
反対側の手はアジトの入口らしき場所を指差していた。


(ひぃいいい〜…っ!!)


*****



セイン達は別々に別れて盗賊団を捕獲しようという作戦に出た。


まずはセインが潜入して騒ぎを起こし、出てきた所を待機していたトバリとラルフで捕まえるといった作戦だ。



ラルフ、トバリside


「でも、一体どうやって盗賊団をおびきだすんだ?あんなナリじゃ脅かせないだろうに…」

「ラルフは知らないのか?セインは凄腕の剣士で半端な奴等じゃ到底敵いはしないんだぞ」

「え?でもあいつ武器持ってなかった……」

その時



うわぁああああ!!!


――中から悲鳴が響き渡った…


*****


???side


グルルルル……


暗い部屋には低い唸り声が響いていた。

「お、おい…なんでこんな所に龍がいやがんだよ…」

「しっ知るか!」

怯えた様子で会話する盗賊団の一味と思える目線の先にはあの満月の晩の白い龍が牙をちらつかせながら唸っていた。


「ま、マズイ!とにかく逃げるぞ!!」


うわぁああ!龍が出たぁああ!!と叫びながら逃げる盗賊達を見送りながら白龍はウォォオオン…!と狼の遠吠えのような鳴き声を発した。



アジト内を駆け回りひとしきり混乱に陥れた後、人気の無くなったアジトの奥へと歩いていった。

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