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セインは自室へと帰ると、迷わずベッドの上に座りこみ、すぐ隣の壁にある窓を開ける。
するとどこからともなく黒い鳥が飛んできて室内へと入った。
「セイント様。」
「…トバリか。どうした」
ちらり、と視線を落とせばそこには鳥ではなく頭を垂れた全身が漆黒に彩られた男。
右目は包帯で隠れているも、瞳は鋭く金色に輝いていた。
漆黒の男、トバリは名を呼ばれると頭を上げ、目を細める。
「報告があります。
――…近頃、龍を捉え、売り捌く連中が居るとの噂を耳にしました。」
「そうか…私もその噂を先程廊下で耳にした。
それで?お前のことだ、もう居場所は特定できているのだろう?」
「はい、イェソドから北東に行った所でアジトを確認しました。…捕らわれた龍も確認済みです」
セインは暫く思案するように目を閉じ、薄く開くと
「長年私の召喚獣をやっているのならもうわかっているな?
――…殲滅しろ。龍は何処か遠くへ運べ」
「御意。」
トバリは静かな返事と共に礼をすればフッ、と姿が闇にかき消えた。
「人か龍か魔か…。“ここ”では何れが先に拗れさせたのだろうか……。」
ぽつりと呟かれた言葉は、誰に聞かれるでもなく消えていった………。
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