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「…もう少し減るものだと思っていたんだがな……少ししか減っていないんじゃないか?」

溜め息混じりに吐き出された言葉に眉を寄せる。

すっ……とセインがゆっくりとした動作で手を持ち上げた。


(……何をするつもりだ?見たところ武器はないから…魔法?)


人間には感じられない『何か』を感じとったかのようにリザード達がセインに一斉に飛びかかる。


魔法なら詠唱は間に合わない。


…今回も合格者はなし…



「――…《風刃》」


そう静かに発せられた言葉が妙に響いたかと思うと、鋭く速い風の刃によって一瞬の内にリザード達の首は跳ねられた。



「『詠唱破棄』…ッ!?」


その名の通り詠唱を破棄して魔法を発動させるという技術。

それは理想論であり実在することはまず“有り得ない”


そして…


「魔法…の名前じゃなかった…」


普通、魔法発動にはそれに付けられた名前を言うものだ。

例を出すならば風の刃で切り裂く魔法『ウインドカッター』

それをセインは《風刃》と言った…

名前ではなく、特徴。



「こりゃ大波乱の予感だな…」


好奇心に満ちた笑顔でラルフは合格者を眺めていた……。

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あきゅろす。
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