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白龍は男達をしばらく見た後、興味が失せたかのようにふい、と空を見上げた。
つられて男達も見上げる。
夜空にはどこか青っぽい満月と数々の星達。今日は一段と夜空が綺麗な気がする、と思いながら再び白龍の方を向くとそこに居る筈の白龍が跡形もなく消え去っていた…
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―基礎なる街イェソド―
ざわざわざわ。
賑やかな街中を銀色の長い髪と左耳の耳飾りをなびかせながら、見れば18歳程の青年が歩いていた。
その姿は旅人だろうか、深い紺色のマントを羽織っている。
明るく品物を勧める声を聞き流しながら彼は道行く人々の会話に耳を傾けていた。
「最近目撃されたっていう『アレ』、知ってる?」
「知ってる知ってる!『純白の龍』でしょ?珍しく人を見たのに襲って来なかったとか…」
(違うな…)
青い目をさ迷わせる。
「この街のドラゴンハンターギルド《魔狩り》に新入りが入ったらしいぜ」
「マジかよ…ここんとこ審査が厳しくて入るものが居なかったあのギルドに?」
(……!これだ。)
二人組で会話する男達に向かって歩き出すと、話し掛けた。
「すまないが訊ねたい事がある……今話していたギルドの場所は何処だ?」
「おっ、随分と綺麗な兄ちゃんだな!《魔狩り》ならそこの角を曲がって直ぐだぜ」
「…感謝する。」
指差された方を見てから男達に視線を戻し、軽く会釈して礼を述べると指差された方向へ歩き出した。
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