短編集


やっぱり仲いいと思うんだけど。

「お前名前何て言うんだ?」

そういえば名前聞いてなかったな。

森本がそう聞くと、子供とは思えない返答が来た。

「人の名前聞くよりまず自分の名前を言うのが常識だろ。」

一瞬俺達はポカンとするが、すぐに森本がそれもそうだなと自己紹介をしだした。

「俺は、森本智史だ。それと年上には敬語使いな・さ・い!」

森本はそう言うと、彼の頭を両手でぐりぐりする。

「……神山悠斗。敬語は敬う人にするもんだろ?あんたに敬うつもりないし。」

ぶっきらぼうに、森本の手を叩いて答える。


「悠斗君。俺は佐々木伊織。よろしくな。」


俺が笑顔で自己紹介して、よろしくの握手をしようとしたら、何故か二人とも無言になる。


「「…………。」」


差し出した手が空しく残っていて、下げようとした時


「……よろしくね。」


笑顔で握手してくれて、それに俺は嬉しくなって思わず顔が緩んでしまった。


「……それ俺んのだからな。」

森本が何故かむすっとした顔で握手してた手を引っぺがえした。

「…よく言う。気づいてなければ意味ないし。」


俺には全く何の事か分からないのに、悠斗君は分かったみたい。

早くも意思疎通している二人。
「いいなあ。」

ボソッと呟いたつもりが、森本は聞こえていたらしい。

「何が?」

まだちょっと拗ねてる森本。

「だって森本、悠斗君とめっちゃ仲いいじゃん。俺も仲良くなりたい。」

途中で二人の仲良くねーしと、声を揃えて言うもんだから、やっぱり仲良しだと思う。

「俺、森本とかどうでもいいし。」

そっぽを向いて答える悠斗君。

「おいこら!伊織に料理教えてやんねーぞ。」
「それは困る。」


「はははは。」

二人のテンポのよさに思わず笑ってしまえば、何故か二人とも顔赤らめ

「「笑うな!」」

二人してそう言うから

「ははは……へ?え、そんなにキモかった?」

そんなに酷かったんだと、ちょっとショックを受けた。

「あ、いやそうじゃなくて…。えっと……。」


慌てて弁解をしようと、必死な森本。

別にいいよ。とむすっと拗ねれば悠斗君が

「俺にだけ笑顔見せたらいいんだよ。」
「……っ」

あまりにも子供らしかなる発言と大人な顔をするから、一瞬ドキッとしてしまった。


何なんだろうか。この子は。




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