記憶の中で


「千鶴起きれるか?」
「ああ。大丈夫。ありがとう。」

体を支えて貰いながら、ベッドから下りると、ふと違和感を感じた。

「あれ……ここ何処だ?俺の部屋じゃない……。」
「気づくの遅すぎだろ!!でもまぁ俺も最初、理解出来なかったけどな。」

鞘のツッコミのタイミングは絶妙だな。

にしても本当
「ここ何処だ?」
「ここはバーラントという国だ。この世界で三大国の一つとも言われておるらしい。」

鞘に聞いたつもりが、誰かが変わりに答えてくれた。

声の主を辿ると、和風美人が居た。
紫色の長い髪と、黒を基調とした和服に紫の蝶が沢山散りばめている。



そしてなぜか和服が乱れている。

妙に色っぽい…。この人。


どっかで見たことあるんだよな。
どこだっけ?



「時雨先輩やっと起きたのかよ〜。ていうか服乱れすぎ!!」
「ふん。わらわに和装などさせるからだ。」

鞘が時雨先輩の服を直しながらそういうと、先輩はぷいとそっぽ向いた。

何この人かわいいすぎでしょ!?


…ん?時雨先輩…?

「え?ええええ!?時雨先輩!?」
「何その時間差反応…。」


鞘が呆れた顔をして俺を見る。
そんなこと言われたって…。


「あー!!」
「何だよ急に!?」


思い出した。この髪。雨の日に見た髪と同じだ。


「時雨先輩はどうして…。」


雨の中ずっと立っていたんですか。

そう聞こうと思ったけど、何故か聞けなかった。


「なんだ?」

急に黙り込んだ俺を不思議に思ったのか、尋ねてきた。


「ああ。やっぱ何でもないです。」


俺はそういってごまかすと、早くお爺さんの所に連れてけと鞘の方を見る。


その時、先輩がどんな表情をしてたのかは知らない。



「くそ爺。連れて着たぞ。」


鞘に連れられてきたのは、目の前に想像を絶する扉。

ここまで来て分かったことが一つ、ここはとんでもなくデカイ城だと言うことが。


「待っておったぞ。鞘殿。蜜殿。そして、千鶴殿。」


俺達が部屋に入ると、椅子に座っていたお爺さんが、静かに立ちあがった。


「千鶴殿…。」
「あ、はははい!」

なんか変に緊張するんだけど。思わず吃ってしまった。

鞘、テメェー笑うんじゃねーよ!



「彼らがバカの事をして、本当に申し訳ない。すまなかった。」

お爺さんがそういうと深々と頭を下げた。
「……煮るなり焼くなり。」


怖いから!!

[*過去][未来#]

2/43ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!