記憶の中で
5-三者side-
ピキッピキピキ─
空は快晴。
いつもと変わらないそれに不自然に少しずつヒビが入る。
ヒビの間から、何者かがひょこっと顔だけを出し、周りを見渡す。
「おれっち発見しちゃったもんね〜!クイーンとナイト!おれっちのおてがらだもんね〜。」
妙なテンションで現れたのは、鮮やかな藍青色の髪に、左目が包帯で隠れている。
「邪魔だ。さっさと出ろ。」
「のわっ!何も蹴ることないじゃん!おれっちの力なかったら、こっちの世界に来れなかったくせにブーブー!」
藍青色の男を後ろから蹴って出てきたのは、軽く2mはあるだろう身長に、少し長い紅色の髪を後ろでひとつに束ねている。
二人ともこの学園の生徒ではないことは確か。
「ならば俺のを解除するか?」
「ごめんなさい。」
長身の男がそう言えば、藍青色の男が瞬時に謝る。
「ひ、ひぃいいい!」
悲鳴に目を向ければ、一部始終を見ていたのであろう、この学園の生徒は顔を真っ青にし、逃げようとするが。
「うわあああ!は、離してぐださっ…くっ!」
「おれっち達を見て、そんな簡単に逃がす訳ないっしょ?それに君には聞きたいことがあるからね。」
群青色の男が生徒をわしづかみし、何かを聞きだそうとしている。
「力緩めろ。死んだら元も子もない。」
長身が言うが時既におそし。
「ありゃ気絶しちゃった。」
死んではいないがぐったりと倒れている。
「たくっ。ちょっとは手加減しろ。行くぞ。」
「あ、ちょっと待って!」
そう言って歩きだした長身の男に、後ろから慌てて追いかける。
彼らが敵なのか、それとも味方なのか、まだ分からないが。
少なくとも、二人がこの学園に現れたことによって、何かが変わって行くのは間違いないだろう。
───…藤崎side
「この気配まさか!?」
嘘だろ。
いくらなんでも早過ぎる!
やつらはキング達を見つけたと言うのか!?
近くに居る俺が見つからないと言うのに。
どういうことだ。
「くそっ!」
やつらが近づいていると分かっているのに、何も出来やしない!
俺は誰一人守れないのか。
俺は何の為に来たんだ。
「……っ。」
ダンッ!─
壁を拳で一発殴ると、目が鋭くなる。
「俺が生徒を守らなければどうする。」
俺はお前がキングいやそれ以上の力があるように思えてならね。
お前は何を隠している?
千鶴。教えてくれ──…
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