記憶の中で
4-鞘side-

「なんだ。こんな勝負にも勝てないのか。はっ期待外れもいいところだ。」
「なっ!誰が!俺が負けるわけないだろ!」

俺がそういうとバ会長がニヤリと口角をあげた。

あああ!俺の馬鹿あああ!

ありえない設定に文句を言おうとおもいっきりバ会長を睨めば、挑発してきた。

そして何故俺は挑発を受ける!?


「倉梨鞘君が逃げた5分後に皆さんがスタートします。捕まえればご褒美を差し上げます。それでは皆さんご健闘を祈ります。」

瑞稀先輩の言葉に一気に会場が盛り上がる。


てかご健闘じゃねー!!
絶対瑞稀先輩何か仕出かすつもりだ!


「倉梨君準備はいいですか?」
「お…おう。」

苗字君付け気持ち悪い。
しかも瑞稀先輩に言われると余計…に………はっ!

いやああああ!
目がいい度胸ですねって言ってるよ!絶対!

「それではスタート。」



────…


「待てー!!」
「いい加減捕まれ!」
「眼鏡猿!」

で冒頭に至る。

誰が眼鏡猿じゃ!


「はぁはぁ…くそっさすがに…全校生徒相手じゃ……うわあ。」
しまった。
油断した!

ドアの前で止まっていたら、いきなり横から手が伸びて、中に引っ張られた。

くそっこんなところに敵が隠れてるなんて!

しかも妙にこの場所だけ薄暗くて顔も認識できないし。

「わらわ敵ではない。」

聞き覚えのある声に俺はホッとする。

「時雨先輩!助かったあ!ありがとうございます!」

こんなところに時雨先輩がいるなんてラッキー!
しばらくかくまってもらおう!
「時雨先輩ここに…「構わん。」…へ?」
「別にわらわの場所じゃないのだからいくらでも隠れればいい。」

顔を良く見えなかったけど、時雨先輩の声は、いつもより優しかった気がする。

あ!

「あの先輩、千鶴達見ませんでした?」

体育館に千鶴達の姿がなく、最初サボりかなと思ったけど、鈴とあずもいないのはおかしい。
「神埼が高熱を出して寝込んでおる。水城と赤井が看病しておる。」

え?千鶴が?
嘘だろ!

「…先輩離してください!」

俺が千鶴の様子を見に行こうとしたら、時雨先輩が手を掴んできた。
「わらわの話を聞いてなかったのか?貴様が行ったところで邪魔になるだけだ。それに自分の立場を忘れた訳ではあるまい。貴様が行けば鬼も神埼のところに大量に押し寄せてくる。」
「……っ。」

先輩の言葉に何もいい返せなかった。
全くその通りだったから。

[*過去][未来#]

4/18ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!