記憶の中で

仕事しろよ。生徒会め。
関係ない俺に回ってきたぞ。


「そういうことだ。よろしく。水城とかも呼んでいいから。」

よろしくされたくない。

まありんとあず誘ったら、なんとか終わるかな。

徹夜覚悟だけど。



………二人が。


「千鶴」

早速取り掛かろうとした時、名前呼ばれたが、今までの雰囲気は消え、何故か重く感じた。


「最近何か変わったことなかったか?」

もしかして、日頃から生徒の相談とか受けてるのか?

見た目に似合わずいい先生だよな。


「別にいじめられてもないし、平和な日々を送ってるけど。」

いじめられるどころか、俺の存在感が危うい。
俺はその他大勢だからな。


「……お前はそういうやつだったな。」


はぁとため息をつかれた。

何気に失礼だと思うんだけど。

俺何故かため息つかれること多いんだよな。


ガタッ

「…うわぁ?!」

いきなりデスクの上に押し倒された。


「と…東矢…先生?」


下から見上げる東矢先生の顔は、なんというか説明しにくい。
色んな感情が混じって複雑な顔をしている。

こんな東矢先生見たことない。

「…まだか。」

俺の頬を撫でながら、安心したように悲しく笑う。


「どうしたんだよ?てか、そろそろどいて……。」


俺が東矢先生の体を強く押し退けようとしたら、先ほどより強い力で押さえられた。

「俺一人じゃ守りきれねーんだよ…。」


今にも泣きそうな声で言う東矢先生。


「お前と必要以上に関わるつもりはなかった。でももう無理なんだ。俺はお前がっ……。」


最後まで言わずに唇を強く噛み締める。


「なんかよく分かんないけど、そんな顔すんなよ。見てるこっちが辛くなる。」


俺は誰かのそんな顔見たくない。

「それに、一人で守ろうとしなくていいんじゃねーか?共に闘っていけばいいだけの話だろ?何も東矢先生一人で抱え込むことはないと思うが。」


俺は東矢先生を安心させるため、抱き着くように背中をぽんぽんと優しく撫でた。


「……お前。それはわざとなのか?しかも俺が言ってる意味わかってねーだろ。」


抱き着いてるようなかたちになってるから、東矢先生の表情が分からない。
けど。


「ありがとうな。千鶴。」



とても温かい声がした。






[*過去][未来#]

7/20ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!