記憶の中で
6
仕事しろよ。生徒会め。
関係ない俺に回ってきたぞ。
「そういうことだ。よろしく。水城とかも呼んでいいから。」
よろしくされたくない。
まありんとあず誘ったら、なんとか終わるかな。
徹夜覚悟だけど。
………二人が。
「千鶴」
早速取り掛かろうとした時、名前呼ばれたが、今までの雰囲気は消え、何故か重く感じた。
「最近何か変わったことなかったか?」
もしかして、日頃から生徒の相談とか受けてるのか?
見た目に似合わずいい先生だよな。
「別にいじめられてもないし、平和な日々を送ってるけど。」
いじめられるどころか、俺の存在感が危うい。
俺はその他大勢だからな。
「……お前はそういうやつだったな。」
はぁとため息をつかれた。
何気に失礼だと思うんだけど。
俺何故かため息つかれること多いんだよな。
ガタッ
「…うわぁ?!」
いきなりデスクの上に押し倒された。
「と…東矢…先生?」
下から見上げる東矢先生の顔は、なんというか説明しにくい。
色んな感情が混じって複雑な顔をしている。
こんな東矢先生見たことない。
「…まだか。」
俺の頬を撫でながら、安心したように悲しく笑う。
「どうしたんだよ?てか、そろそろどいて……。」
俺が東矢先生の体を強く押し退けようとしたら、先ほどより強い力で押さえられた。
「俺一人じゃ守りきれねーんだよ…。」
今にも泣きそうな声で言う東矢先生。
「お前と必要以上に関わるつもりはなかった。でももう無理なんだ。俺はお前がっ……。」
最後まで言わずに唇を強く噛み締める。
「なんかよく分かんないけど、そんな顔すんなよ。見てるこっちが辛くなる。」
俺は誰かのそんな顔見たくない。
「それに、一人で守ろうとしなくていいんじゃねーか?共に闘っていけばいいだけの話だろ?何も東矢先生一人で抱え込むことはないと思うが。」
俺は東矢先生を安心させるため、抱き着くように背中をぽんぽんと優しく撫でた。
「……お前。それはわざとなのか?しかも俺が言ってる意味わかってねーだろ。」
抱き着いてるようなかたちになってるから、東矢先生の表情が分からない。
けど。
「ありがとうな。千鶴。」
とても温かい声がした。
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