記憶の中で
色-シキ-─…side
【くそ、この俺が負けるなんて。】

わらわには理解出来ない。

「それは貴様が弱いだけだ。」

ずっと近づくことさえ嫌がってた彼らが、どうしたまた罰ゲームといい近づく。
こやつは、ただ従ってるだけのようだが。


「なっ俺何も言ってねーよ!?」

急に焦り出したそいつに

「貴様は顔に出ている。」


そうごまかせば、顔に出たことないのにと、驚いている。
実際全く顔に出てないのだけどな。

「お前っ……もしかして!?」

何やら口をパクパクしたそいつが何か言いたそうだ。

でもさっきからエスパーと心の中で復習している。


「…エスパーか!」
「……。」

とんでもなく、バカらしい。



わらわが他人と喋るのは珍しい。
逆に言うとわらわに話かけるのも珍しい。

だが何故か。
わらわの隣にはこやつがいる。
何を企んでいるのかと、思ったら、ただ利用されてるだけらしい。

本人は、ゲームに負けたと思っているが、初めからそうなるように仕向けられてる。


現にこやつはわらわにあの写真を見せた時、この写真がなんだと思っていたからな。

あの写真の持ち主は、昔のわらわを知っている。

そして恐らくわらわを、消したい人物だろう。








──────…




ぽつぽつ──…

雨。

わらわ雨が好きだ。
髪が濡れると、漆黒から紫に変わる。

この髪ももはや人じゃない。

でも、心は醜くくても、この髪のことは嫌いになれなかった。
紫はわらわの大好きなお母様の色だから。


お母様はわらわの一番の理解者だった。


「……逢いたい。」


雨が降ると、お母様がそばにいる気がする。






ずっと雨に濡れてたわらわ、気づかなかったのだ。


遠くのほうでわらわを見ていた人物に。


そして、これから関わろうとしていることを。



あの時、わらわが気づいていたら、貴様には近づかなかったし、近づけさせなかっただろう。

でももう遅い。

今度はわらわが貴様を救う。

















───他side


蜜。

聞こえているのでしょう?
私の“心”を聞いて下さい。
蜜、私は貴方の味方です。
全てのものが貴方の敵だとしても、私はずっとそばにいます。
だからどうか逃げないで下さい。
現実から目を背けないで下さい。

私の心は嘘つきません。



聞こえているのでしょう?蜜。

私は此処に居ます──…






[未来#]

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