記憶の中で

「ん〜……あれ?」

どうやら目が覚めたらしい。

「わりぃ起こしたか?」

思いだした。こいつさっき食堂にいたやつだ。

「いや、大丈夫。お前もしかして神埼千鶴?俺、倉梨鞘(くらなしさや)って言うんだ!よろしくな!俺のこと鞘でいいぞ。」

見た目に似合わず男前な喋り方だ。
人は見た目で判断したらいけねーな。

「よろしく。俺も千鶴って呼んでくれ。」

てかなんで俺の名前知ってんだ?

というより。

「なんでここにいるんだ?」

俺一人のはずなんだけど、部屋間違えたのか?

「今日からお世話になります!」
「マジで?」

あら、知らなかった。

「うん!」

元気よく答える鞘に何故かりんとかぶった。

だからつい。

「そっかまぁよろしく。」
「……っ!」

俺が頭を撫でれば、顔を真っ赤に染めた。

……ここのやつらはすぐ風邪を引く。
全く。夜更かしばかりしてるからだ。


「そういえば鞘って、今日生徒会にキスされてたよな?」

生徒会の誰か知らないけど、外部生は鞘で間違いないと思う。
「してないしてないしてないしてない……。」

おもいっきり、顔の前で手を横に振り否定している。

したな。

顔が引き攣ってるぞ。

「まぁ。犬噛まれたと思って忘れとけ。」

生徒会を犬扱いもどうかとおもうが。

「千鶴が思い出させたんじゃん!!せっかく忘れてたのに。」

ぶぅーと顔膨らませる。

やっぱ

「してんじゃん。」

俺がそういうと、顔をさっきより真っ赤に染め、吃りだした。

「なっなな…ち、ちちちがっ!」

何言ってるかわかんねぇーし。

「あははは。可愛いなお前。」

「なっ頭撫でんなっ。くそはかったな!」

鞘の意外にも可愛い反応に思わず笑顔がもれた。
そしたら急におとなしくなった。

なんだ?
まぁほっといて風呂入ろう。

「俺風呂入るから。寝るならちゃんとベッドで寝ろよ?おやすみ。」










チャポン──…



風呂に浸かって、さっきのことを思いだしてみる。

「うーん。あんな風に言われてる子て誰なんだろ。」

すれ違いに聞こえた陰口。
お節介なのかもしれないが。

俺は気になり出したら止まらないからな。



それが俺の人生が変わる原因の一つだとしても。

[*過去][未来#]

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