記憶の中で
3
「ん〜……あれ?」
どうやら目が覚めたらしい。
「わりぃ起こしたか?」
思いだした。こいつさっき食堂にいたやつだ。
「いや、大丈夫。お前もしかして神埼千鶴?俺、倉梨鞘(くらなしさや)って言うんだ!よろしくな!俺のこと鞘でいいぞ。」
見た目に似合わず男前な喋り方だ。
人は見た目で判断したらいけねーな。
「よろしく。俺も千鶴って呼んでくれ。」
てかなんで俺の名前知ってんだ?
というより。
「なんでここにいるんだ?」
俺一人のはずなんだけど、部屋間違えたのか?
「今日からお世話になります!」
「マジで?」
あら、知らなかった。
「うん!」
元気よく答える鞘に何故かりんとかぶった。
だからつい。
「そっかまぁよろしく。」
「……っ!」
俺が頭を撫でれば、顔を真っ赤に染めた。
……ここのやつらはすぐ風邪を引く。
全く。夜更かしばかりしてるからだ。
「そういえば鞘って、今日生徒会にキスされてたよな?」
生徒会の誰か知らないけど、外部生は鞘で間違いないと思う。
「してないしてないしてないしてない……。」
おもいっきり、顔の前で手を横に振り否定している。
したな。
顔が引き攣ってるぞ。
「まぁ。犬噛まれたと思って忘れとけ。」
生徒会を犬扱いもどうかとおもうが。
「千鶴が思い出させたんじゃん!!せっかく忘れてたのに。」
ぶぅーと顔膨らませる。
やっぱ
「してんじゃん。」
俺がそういうと、顔をさっきより真っ赤に染め、吃りだした。
「なっなな…ち、ちちちがっ!」
何言ってるかわかんねぇーし。
「あははは。可愛いなお前。」
「なっ頭撫でんなっ。くそはかったな!」
鞘の意外にも可愛い反応に思わず笑顔がもれた。
そしたら急におとなしくなった。
なんだ?
まぁほっといて風呂入ろう。
「俺風呂入るから。寝るならちゃんとベッドで寝ろよ?おやすみ。」
チャポン──…
風呂に浸かって、さっきのことを思いだしてみる。
「うーん。あんな風に言われてる子て誰なんだろ。」
すれ違いに聞こえた陰口。
お節介なのかもしれないが。
俺は気になり出したら止まらないからな。
それが俺の人生が変わる原因の一つだとしても。
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