記憶の中で
二人の関係-鞘side-
トスッ!!
「何して!?」
突然誰も近付けない千鶴に、首の後ろを手でチョップし、気絶させた。
「このままじゃこいつの体力が持たない。気絶させた方が安全だ。」
そう言ったテイラーさんの手は軽く火傷を負っていた。
「こいつは俺が見とく。お前等は自分の事だけを考えとけ。」
「……ぜってー千鶴何かあったら許さねーからな!!」
悔しいけど、今の俺達じゃ千鶴を守れない。
ここはテイラーさんに任せるしかない。
だから今は目の前の奴を倒すだけ。
「………。」
「………。」
え?何この空気。
「………。」
「………。」
あああ!もう!!
「てめぇらなんか喋れし!!」
さっきから、リシュアンと仮面の奴が無言で見つめ合ってるのを見るとイライラする。
「あは。なんか喋ったら負けかなって思ってー。」
相変わらず呑気なリシュアン。
「てかお前なんで仮面なんかしてんだよ!?」
目の前に居る奴だけじゃない。こいつら全員が同じ仮面を付けてる。
「………。」
「てめ「無駄だよ。」…どういう…。」
「生きてる感じがしない。」
さっきから一言も喋らない仮面に一言言おう思ったら、リシュアンに止められる。
「まるで死んでるみたいな言い方だな……え、マジ?」
まさか死人が動く訳ねーだろと思ったら、リシュアンがマジだという目をしていた。
「死んだ人間を無理矢理蘇らせた。それも主人に反抗しない為に身体だけをな。」
もう一人の仮面がそういう。
それってつまり…。
「ゾ…ゾンビって事か!?」
「まぁそうとも言うな。」
誰かが操作しない限りこいつは動かないのか?
「じゃあこいつを操ってるのがお前か?」
「さあな。」
そいつは、そう曖昧に答えると、ある方を見た。
「お喋りは此処までだ。俺はあいつが気になってしゃあね。でもお前等はあいつに近付けさせてくれねーだろ?」
さっきからずっと千鶴の方を見ている。
「あ、当たり前(でしょー)だろ!!」
リシュアンと声が被れば、奴は鼻で笑う。
「ふっ。でもまだ覚醒してない甘っちゃんに何処まで俺を本気にさせること出来るかな。」
それって俺の事言ってんだよな?
そうだよ。俺はまだ覚醒してねーよ!
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