記憶の中で
8-リシュアンside-
何かがおかしい。
そう気づいた時には、もう遅い訳で…。
だけど俺っち達はそんな事も気づかずにいた。
「炎鉄剣<エンテツケン>!!」
ブンッ!
相手は炎に包まれた剣を握ると、振りかざして
「……っ!」
ブンッ!
シュッ─…!!
容赦なく、剣を突き付けて来る。
「はあ。開け剣扉<ソードゲート>!!」
空から剣を出せば、構える。
特殊能力は、想像力があれば、誰だってなれる。
だけどそれを知る者は少ない。
まぁ実際想像力以外に、経験や技術が必要だけどね。
「へー。なかなーか面白そうだーね。」
いざ勝負!
彼はそう言って、また剣を構える。
互いの剣の先を当てる。
ゆっくり、ゆっくりと横に移動する。
キンッ!!
剣同士が当たる音が響く。
「君ってーもしかしてーテルニーアの…。」
結構鋭いんだね。
一回剣を交えただけなのに。
「…例えそうだとしても、今はもう関係ないよ。」
「ふーん。その目をわざわざ隠すのは、その為?」
砕けた口調ではなく、鋭く的確に突いてくる。
包帯で巻かれた左目をそっと触れる。
この目は、あまりにも危険だから。
解けば、自分じゃ制御出来ないんだよね。
「あんまり、個人的な事は聞かないでくれるかな。」
キンッ!!
だから俺っちは、いつだって本気にはならない。
こんな事誰も知らなくていい。
「もったいないー。左目をー外した君と戦ってーみたいなー。」
「ははは。俺っちが左目を見せる事は、もう二度とないよ。」
もう二度と、悪夢は見ないと決めたから。
それに自分の力に溺れて死ぬのは嫌だからね。
「ああー。なんか飽きちゃったー。この戦いはー、ゲームまでお預けだーよ。んちゃーおー!」
彼が、逃げようとした瞬間何か違和感を感じた。
「何かー嫌なー空気…。」
彼も何かに気づいたらしい。
でも、それが何か分からないから、どうしようもない。
「あれー?人何ーて居たーっけ?」
いつの間に!?
彼が指した場所には、さっきまで人何て、人が住んでいた形跡さえなかったのに、今はルセイチの町人が溢れ帰っている。
「わぁー建物まーで直ってーるよ!」
崩れそうだった町は、何故か、全て奇麗に戻っていた。
一体どうなって…。
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