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お手紙7
色々考えてもしょうがない。
これが俺の出した結論だった。
あれからも毎日手紙は届いている。
届いては、いるんだけど。
とりあえず今は手紙が届いてるだけで終わってるわけだし。
とくに日常生活が脅かされてるわけでもない。
誰かはわからないけど。
俺の1日の出来事を、振り返らせてくれてるだけ。
そう、思うことにした。
そう、思ったら。
少し気持ちが楽になって。
いつもどおりに仕事ができるようになった。
毎日まいにち終電で帰っていたのが、
何本かだけど少し早く帰れるようになって。
身体の疲れも軽減されて。
総てが順調に進み出したように思えた。
俺は少し安心して、
浮かれていたのかもしれなかった。
もう大丈夫だろうと。
これ以上何かが起こることはないと。
たかをくくって、
いたんだ。
その日。
俺は高野さんと一緒に帰ることになった。
こうやって帰るのは本当に久しぶりのことで。
また一緒にご飯を食べようなんて流れになって。
俺は抵抗したんだけど。
なんかずるずる引っ張られていって、
24時間営業のスーパーで一緒に食材を買う羽目になって。
いつものように俺の部屋で。
今日は鍋にしようということになった。
暑い時期に鍋ってなんだって話だけど。
冬にアイス食べるみたいな感覚というか。
そんな。
ささやかな日常が。
嬉しくて。
悩んでた日々が、あったから。
この穏やかな日常が、
まるで宝物みたいにみえて。
そんなふうに、
思っていたのに。
「なんだよ」
次の日のことだった。
その日届いた手紙は、
俺のそんなささやかな日常を、
いとも簡単に壊してくれようとしていた。
「なんだよ、これ…っ」
手紙は
こんな俺を、
俺の普通の、
ありきたりな日常を。
許してはくれなかった、みたいだ。
その日。
手紙は、初めて一行を超えた。
『昨日お前と一緒にいた人、知ってるよ。
 随分楽しそうだったな。
 許せない、
 許せない許せない許せない許せない
 お前は、
 俺のものなのに。』

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