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くま9★
「お前が」
「どうしたって離れていくなら」
高野さんの顔が、俺の耳元に埋められる。
「ひゃっ」
ぬるぬるとした感触が耳のなかを這いまわり、耳たぶを舐め、齧る。
そうしてゆっくりと首筋まで降りてきたところで。
チリリ、
痛みが走った。
「っ、た」
あぁ、
しばらく襟のない服、着れないや。
そんなどうでもいいこと考えながら。
考えていないと、
飲み込まれてしまいそうで。
でも。
そんなのは、すぐに無駄に終わることになって。
高野さんの舌が胸まで辿りついてしまう。
そこでも何度か痛みが走り。
満足したところで今度は、
右側を舌で、
左側は右手の指で。
「っ、は…ん」
最初は突起の周りを、なぞるように。
散々焦らしたところで。
「ひゃぁん」
弱く弱く、刺激を与えてくる。
だんだんそれが、
強くなっていく。
「はあ、ぁ、あ」
触れるか触れないかを掠めていただけの刺激が、食み、爪を立て。
俺を、弄んでいく。
カリリ、と。
一際強く噛まれた。
「…あぁっ!」
下着の中に、嫌な感触が広がった。
全力疾走したみたい。
呼吸が、
ちゃんと、できない。
「イったのか?」
悔しい。
恥ずかしい。
まだ、下も触られていないのに。
なんで、
なんでこんなこと、されて。
イってしまうなんて。
なんだか泣きたくなってきた俺の顔を、高野さんが覗いてきた。
その視線から逃れたくて、顔を背ける。
見ないで。
こんな俺を見ないでよ。
そんな俺の意思とは裏腹に、
「や、」
高野さんは俺の顎を掴んで、無理やり視線を重ねてきた。
「お前を、」
「手放すくらいなら、俺は」
「い、たっ」
ギリリ、俺の両手を押さえる手の力が、強くなる。
「俺はお前の手をこうやって縛って、閉じ込めて」
「俺だけしか見えないようにして、監禁してやる」
その時、おれは。
10年前に、高野さんに出会ったことが。
10年経って、高野さんと再び巡り会ってしてしまったことが。
あってはならない間違いであったことに、気づいてしまったんだ。

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