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年末年始(2013〜2014)




十二月三十日

「来年はどんな年になるかな」
「さぁな」
「来年、いい年になるといいね」
「だな」
「来年の予定って何かある?」
「いや。いつもと同じことの繰り返しだろ」
「そっか。来年、少し遠出したいなって思ってるんだけど」
「……………すればいいじゃねぇか」
「来年は色んなことに挑戦したいんだ」
「……………そうかよ」
「来年の目標は…」
「おい」
「ん?」
「さっきから何なんだ?来年来年て」
「あぁ……笑うかなって思って」
「あ?」
「来年の話すると笑うって言うから」

 ペシンッ

「痛い」
「くだらないことしてんな」
「いやでもだってほら見てよアレ」
「あ?」

「うはははっ!来年!来年こそだって!」
「ぷっ…くくっ…ら、来年だって無理だって!」
「あはははっ!マジウケるっ!マジかよ?マジで来年こそとか言ってんの?」

「……………」
「ね?」
「……………」
「……大丈夫?」
「……………アレと一緒にすんな」

 ペシンッ

「……痛い」





十二月大晦日

「おはよう」
「おはよう、レディ。もう少しで蕎麦の準備ができる」
「蕎麦?」
「ああ。何でも年越しの夜に食べるといいらしい。縁が続くそうだ」
「あら、そうなの?………でもあなたとの縁は切ろうとしても切れないのだけれどね」
「もちろんだ。だが他のやつらは違うだろう?レディは彼らを気に入っているから。だから、少しでも長く続くように」
「ありがとう。あなたも彼らのこと気に入っているものね」
「……………そう、だろうか」
「ええ。………そう、今日、年が変わるのね」
「今夜は外出する人が多いらしい。どうする?」
「そうね……なら、食事を終えたら私たちも出かけましょうか。今夜は月が綺麗そうだし、のんびりお散歩でもしましょう」
「わかった!」





一月元旦

「おい。起きろ」
「……ん、んー」
「ほら、早くしないと見逃すぞ」
「んー?」
「見なくていいのか?」
「……ん、ん……もう、着いたんですか?」
「ああ。とっくに。もう上り始めてるぞ」
「ん………え?あっ!」
「目ぇ覚めたか?」
「覚めました!」
「ほら、少し明るくなり始めてるだろ。晴れてよかったな」
「はい。………うぅ、寝ないで起きてようと思ってたのに」
「無理だつったろ」
「でもおじちゃんがずっと運転してるのに」
「その分昼間寝てたからな」
「うぅ………あ、頭出てきました。ほら見てください!」
「見てる見てる」
「うわぁーうわぁー…すごいです。きれいです」
「そらよかった」
「うわぁー…………あっ」

 パンッパンッ

「……………」
「………?」
「…………………………よし」
「何したんだ?」
「お願い事です。今年もおじちゃんと色んな所に行けますようにって」
「……………」

 ワシャワシャ

「わっ、な、何ですか?」
「………いや」





一月二日

(うっわーまだそれなりに人いるなぁ。昨日よりはましなんだろうけどさぁ。やっぱ一日は混むからって二日に来る人いるんだ。いやまぁだからオレも多いところは一日に行くのはやめたんだけど。それでもこれか。もっと後にすればよかったかな。他にすいてるとこあるし。でもここまで来ちゃったからなぁ。まぁ、混んでても関係ないけどさぁ。通り抜けてけるし。でも好きじゃないんだよな。それ。あぁ、もう本当何でこんなことに)

(……………とっととお参りしよ。余計なこと考えたくない。何で、あんな、あんな………あぁもう嫌だ。大体、神頼みしてどうにかなるのかよ。会ったことないよ。神様。あれ?あるのか?でも別に祀られてるわけじゃないし、違うか。……あぁ、でもそうだ。あいつは一応神様なんだ。ヒトの、願いなんて、全然きいてくれないけど、本当に………)

(……………………………………………………願い事、)

(……………………………………………………)

「………今年こそ、成仏できますようにっ!」

(……………よし。次の神社は…)





一月三日

 カッコーンッ
 カッコーンッ

「秘技!トルネードスマァァァッシュッ!」
「何のっ!ウルトラスーパービィィィムッ!」

「元気だのぅ」
「そ、そうだの」
「………フフ」
「どうしたのだ?」
「いや、幸せだなと思っての」
「………?」
「童どもが元気で、若が隣にいて、お茶が美味しくて。これ以上のことはないのぅ」
「っ、そ、そうか」
「ワシは新年早々若に会えて嬉しいが、若は忙しかったのではないか?」
「ぬ、主に会いたかったからの。急いで済ました」
「そうか。今日はゆっくりできるのか?」
「うむ。日暮れには帰らねばならぬが」
「ならば帰りは送ろう」
「否、手間をかけさせるわけには……」
「なに、ワシが少しでも長く共にいたいだけだからの。断らんでくれ」
「………っ!?」

「若っ、しっかり!」





一月四日

「明けましておめでとうございます」
「あ、明けましておめでとうございます!」
「今日はわざわざ迎えに来てくださってありがとうございます」
「オ、オレが、あなたと一緒に行きたくて、来ただけですから」
「ふふっ」
「………っ、あ、あの!」
「はい」
「そ、そろそろ行きますか?」
「そうですね。皆さん、お変わりはないですか?」
「オレも、そうしょっちゅう会えてるわけでないので……でも、変わりようない奴らですから」
「ふふっ、そうですね」
「年末年始は結構、忙しくしてたみたいで……お店も、昨日まで休みだったんです」
「そうなんですか?」
「オーナーが実家に帰ってまして。親戚付き合いが煩わしいからと、店を口実に切り上げてくると言っていました」
「あぁ…その気持ちはわかるなぁ」
「大変なんですか?」
「少し。だから今日をとても楽しみにしてたんです」
「ぜひ、ゆっくりしていってください!あ、そうだ。神社とか見ていきますか?」
「神社、ですか?」
「地上の…日本の、風習で。お願い事をする場所なんですけど、特にお正月、年明けには初詣と言ってたくさんの人が行くんです」
「まぁ……案内をお願いしても?」
「はいっ!よろこんで」
「ふふっ、よろしくお願いします」





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