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おまけ、




【其の一】

 夜が明けた翌日。

「なぁっ!昨日のあれ、嘘だったんだろ?」

 目の下に隈を縁取ったリュウが、螢に詰め寄っていた。

「うん。本当に全部嘘だよ」
「じゃあさ、お前の腹殴っても平気だな?」

 拳をつきだすリュウ。

 言えないだの秘密だの言っていたから、もし万が一本当だとしても、もうそうは言わないだろうとキラが言っていた。

 けれど気になる。不安を抱えたままではいられない。一晩考えて辿り着いたのがこの方法だった。

「うん。でもリュウに殴られるのはムカつく」
「よ…良かったぁー……何であんな嘘吐いたんだよ」
「だって、腹立ったから」

 螢が微かに顔をしかめる。

「面白そうって思ったけど、苦しいだけだったし。仕返しされたし」

 あっと、リュウが顔をあげた。

「そーだ。結局仕返しって何だったんだ?」
「知らない」
「何だよそれ」
「知らない。疲れただけ」

 何処と無く憮然とした様子の螢に、リュウは首をかしげる。

「何処行ったんだよ」
「……何か、花見したりお茶したり?街中も色々散策したよ。土手で昼寝とか……人の膝、枕にするから重いし疲れるし」
「……何なんだ?それ」
「知らない」
「そんなんなら、ついてきゃ良かった」
「代わってくれれば良かったのに……変でしょ?」
「そーだな」

 そんな会話を背後に聞きながら、天狼は軽くフリーズしていた。

 いや、お前らそれって所謂‘でぇと’だったんじゃねぇのかだなんて口が裂けても言えない。そんなこと思いたくもなかった。





【其の二】

「なぁ、そういや良く考えてみたら昴は騙されてないよな?」
「うん。そーだね」
「何でだよ」
「だって、リュウ騙してた途中で来ちゃったから、タイミング逃したんだもん」
「………どーいう嘘吐くかは考えてたのか?」
「うん。リュウと同じで両親がわかったって」
「………やっぱつばめと螢か?」
「まっさかー。だって螢の方が年下でしょ?いくらなんでも無理だよ」
「じゃあ誰だよ」
「北斗と天狼」
「………北斗が母親で、天狼が父親か?」
「んーん。逆。北斗が父親で天狼が母親」
「………はぁ?」
「どーかした?」
「何でそうなんだよ」
「何でって?……あ、北斗が父親なら母親はオレだって?もうっわかってるなーリュウは。でも残念。オレと昴、同い年ぐらいだから無理がある。愛人か後妻を目指すよ!」
「そうじゃねぇよ!天狼が母親ってのか無理あんだろっ?」
「えー?何で?人は見かけじゃないよ?」
「そうじゃなくって!」
「あんたら何また騒いでんの?」
「あ、昴ー。昴は北斗と天狼、どっちが母親の方が良い?」
「えー?どっちも口煩そうだからなぁ」
「母親に突っ込みはなしかよ!」
「んー。天狼の方がマシかな?面白そうだし」
「だよねー」
「つ…ついてけねぇ……」





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