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……………3




「ねー、メグと辻本君ってさ、付き合ってんだよね?」
「えっ、違うよ!」
「えっ、違うの?」
「…………」
「…………」

 沈黙が訪れた。

 あれ?何で?

「え〜と、何でそう思ってたのかな?」
「だって、よく一緒にいるし、メグすごく楽しそうだったからさ」
「私も付き合ってんだと思ってたよ」
「えー、一緒に勉強してただけだよ。勉強は楽しくないよー」
「だから、そうは見えないんだって。早くくっつけ」
「だからっ、恵は私にとって頼りがいのある弟みたいなもんなんだってば」
「……弟って、あんた」

 わかってる。皆まで言うな。

 ……でもそっか。他からは付き合ってるように見えるんだ。

 …………

 あれ?何だろう。何か気持ちがふわふわしてきた。

 〜〜〜♪

「あ、ちょっと失礼」

 携帯の着信が鳴ったので、椅子に座ったまま友人達に背を向ける。

 あっ

 タイミング良いと言うかなんと言うか。電話は彼からだった。背もたれに抱きつくようにして通話ボタンを押した。

「はいはい。恵から電話なんて珍しいね。レポートならちゃんと提出したよ……何か急用でもあんの?……うん。大丈夫……あぁ宮下雅則君だっけ?……親しくって、友達にでもなりたいと?……まぁ、恵の友達だし変な人じゃなさそうだったけど……うん。いいよ。別に教えても……あはは、何それ、用ってそれだけ?……うん。じゃあね」

 ピッと携帯を切る。わざわざ彼づたいに聞かなくてこないだ会ったときに聞いてくれば良かったのに。変な奴。

「…………ちょっと、メグ」
「ん?何?」

 振り替えると友人の一人がものすごい形相をしていた。

 ……本当に何?

「何、今の会話」
「え?な……何って?」
「宮下雅則って、あの宮下雅則!?」
「あ……あのって、どれだか知んないけど恵の友達のだよ?」
「あぁ、じゃあやっぱそうだ。経済学部のでしょ?」
「親しくって、ってどういうことよーっ!?」
「ふ、二人とも知ってるの?」
「うちら同じ予備校だったんだよ。向こうはこっち知らないだろうけど」
「あ、そうなんだ」
「宮下君は特Aクラスの中でもトップでねー。ここにも首席で入学だから嫌でも目立つよね」
「しゅ、首席っ!?」
「あんた、何で知らないのよ。入学式で挨拶してたじゃん」
「メグの事だから寝てたんじゃない?」
「うっ」

 図星です。図星ですけれどもっ!

「そ……そんな細かいことまでいちいち覚えてないよ」

 強がって見せたけど視線が痛い。

「…………あ、でもそれじゃあ恵も一緒だったの?」
「ん?予備校?辻本君は違ったね。大学入ってから宮下君と仲良いんで知ったよ」
「てかあの二人って一時噂になってたしね」
「噂って?」
「…………」
「…………」

 二人が顔を見合わせて、奇妙な沈黙が訪れた。

「あ、あの〜?」
「……まぁ、何にせよメグと辻本君がくっつけば問題ないのよ」
「まぁ……そうね」
「……お二人さん、私の意思というものは?」

 結局、その噂について知るのは大分後になってのコトだった。





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