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「あれ?アキちゃんまたあの夢見たの?」
「いや今日は見てないけど」
「えっマジ?外した?何かあの夢見ましたオーラ漂ってる感じだったんだけどなァ」
アキちゃんというのは俺、宮田暁夜(みやたあきや)。あの夢、というのは言わずもがなダレルとディーナの夢だ。
意図して告げたわけではなかったが、幼馴染兼自称親友のヒロこと大槻尋(おおつきひろ)はこの夢のことを知っている。
夢を見た日の俺は尋曰く「ルンルンオーラ」が漂っているらしい。
確かにその日に機嫌がいいのは自覚していたが、それがわかるとは思わなかった。この時ばかりはさすが幼馴染、と感心した、というのは秘密。後にも先にもこの時だけだったが。
「今日は見なかったけど・・・一昨日ぐらいに多分見た」
「んー・・・何なんだろうなぁ。なんだかさ、いつもと違う感じがすんだよ」
「は?」
「こう・・・なんてんだろ。あ、そうそう、親戚の葬式!みたいな」
「お前葬式行ったことあんの?」
「ねーけど!」
「・・・」
そこでタイミングよく上から降ってきたHRと1時間目開始のチャイムに、昇降口にいた俺達は顔を見合わせ、ため息をついた。
「今日の授業なんだっけ」
「あーあれだよ。物理。あの500円ハゲの」
「・・・サボるか?」
「だーいさんせい」
こんなんでいいのか高校生よ、と思うかもしれないが、ここは底辺を行くとまではいかなくてもなかなかの不良高なのでクラスに数人はこういうのもいる。
俺らもたまに(本当にたまにだけど)、屋上に行ってさぼったり。
ここだけの話、俺達はそれを狙ってここに入ってきたようなもんだ。
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