02.記憶喪失?
目が覚めると私は知らない部屋のベットの上で寝ていた。
一体ここはどこなのだろうか。そして私の置かれている状況はどうなっているの?
というより、私は……
『痛ッ』
――コンコン、ガチャ――
「あ、目覚めましたか? ってえ!? どっか痛いの!?」
突然起きた頭痛に頭を抑え俯いていると、扉が開き声がした。
激痛に耐えながら目だけ其方に向けると、茶髪の男の人があたふたしているのが見えた。
「頭が痛いの!? ど、どうすれば! 何かしてほしいことある!?」
『ッ……あ、治まった』
「へ?」
さっきまであんなに痛かった頭痛がスッと引いていった。
男の人は私に近寄ってきて本当に大丈夫?と何度も何度も聞いてくる。
『だ、大丈夫です。すみません』
「ならいいんだけど、無理しないでね?」
『はい……』
先程から私の容態を心配してくれる彼は一体誰なのだろうか。私とどんな関係なのだろうか。
今までに会ったことはないよね、多分……。
「ああ! 紹介がまだだったね」
一人悩んでいると思い出したように彼はそう言った。
「僕は小野妹子といいます。よろしく」
『私はえーっと、えっと……』
「?」
アレ、私の名前なんだっけ。それに、今まで何処にいたんだっけ。何していたんだっけ。
両親は? 兄弟は? 友達は?
……わからない、ワカラナイ! 思い、出せない。
『いったッ……!』
「え!?」
ああ、まただ。
自分のことを知ろうとすると激しい頭痛に襲われる。
『わ、わからない』
「わからない?」
『思い出そうとする、と頭がすごく……痛むのッ』
「痛むって……」
『はぁ、治まった。ごめんなさい何度も……』
「いや、大丈夫」
そういった小野さんは眉間に皺を寄せて何か考え込んでる様子だった。
「おーい妹子! 遅いぞ〜」
「ゲッ!!」
「ん? 起きたのか?」
『こ、こんにちは』
陽気な声が聞こえたら、今度は前髪を上げてる黒髪の男の人が入ってきた。
妹子って小野さんのことだよね? 知り合いかな?
私が挨拶をするとその人はニッと笑ってこちらに近寄る。
「私は聖徳太子だ。太子と呼んでくれて構わないぞ」
『あ、はい……えと私は』
「無理に思い出さなくていいよ、また頭痛くなっちゃうでしょ?」
『ありがとうございます……』
「どういう意味だ妹子?」
「彼女は……記憶喪失になってるみたいなんです」
「記憶喪失?」
『自分のことや過去のことを思い出そうとすると激しい頭痛に襲われるんです』
「それは大変だ!」
事情を説明すると太子は小野さんに大変だ!大変だ!と連呼し始めた。
小野さんはとても鬱陶しそうな顔をしている。
……そういえば私一番聞かなくちゃいけないこと聞いてないよね。
「いい加減黙れこの芋虫が!!」
「グハーッ!」
『あの……』
(い、今話しかけて大丈夫かな)
「ふうー、どうかしましたか?」
『こ、ここは一体どこなんですか……?』
記憶喪失?
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