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01.巻き込まれた


「ここも大分片付きましたね大王」

「そうだねえ、早く皆と合流しようか」



路地裏は先ほどまで銃声や爆発音が鳴り響いていたが、今は静寂としている。
大体片はついた。こっちも別に深手を負った訳じゃないし、得るべき情報も得た。作戦は成功と言えるだろう。
あとは殺り損ねた敵に見つからないよう姿を晦ますだけだ。



「この情報が確かなら大変な事になりますよ」

「そうだね……ん? あれは」

「何ですか?」



何か見つけたらしい閻魔はそちらへ向かって行った。すかさず鬼男も後についていく。



「お、鬼男君……大変だよ」

「瓦礫の下に何かあったんですか大王」



全身を震わせ鬼男のほうに顔を向ける閻魔。一体何があったというのか……。
だが次に発した彼の言葉で鬼男は意気消沈する。



「セ、セーラー服を着た女の子がッ!!」

「……お前、どうやら刺されたいらしいな」

「え、ちょ、待ってよ! 爪伸ばさないでよ! 本当だから!」

「普通の学生がこんなところにいるわけ…………え!?」

「ほらね! いるでしょ!!」

「まさか、どうして」

「巻き込まれちゃったのかな……」




苦しそうに蠢(うごめ)く少女を見ると額には汗が浮き出ていた。
まさか撃たれたんじゃ……そう思い体を見てみたがどこからも血は流れていない。一先ず安心か。
さて、見た感じ不運にもこの紛争に巻き込まれてしまったであろうこの少女をどうするか。もしかしたら敵の罠という可能性も考えられる。
このまま見捨てるか、助けるか……どうする。









痛、い。特に頭が割れるように痛い。
周りで声がする……ねえ、誰かいるの?
痛っ!!う、頭が、痛い。
お、願い助けて、助けて……!!




『うぐ……』

「辛そうですね」

「だったら早く瓦礫を退かさないとね。よいしょっと!」

「い、いたぞ! こっちだ!」

「ちっ……こんなときに敵か」

「逃げなきゃまずいね」

「なんだあの女! 味方が増えたのか!?」

「そんな情報聞いてないぞ! ボスに報告しろ!」

「……あらら、完全に巻き込んじゃったみたいだねえ」

「仕方ないですね、僕が運びます。さあ逃げますよ大王」

「はーい」



銃声が飛交う中、少女を一人連れて閻魔と鬼男は闇に姿を消した。




巻き込まれた






あきゅろす。
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