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神様の憂鬱
不審者からの電話


その後、鳴り続ける電子音に急かされロビーに入ってみたはいいけれど、俺の頭の中はさっき見たパネルの事で一杯だった。

(……何で俺の名前が登録されてるんだ?)

くどいようだけど、俺はこんな高級マンションに住んでいる記憶は無い。
掌の鍵を眺めても答が分かる筈も無く、途方に暮れて広いロビーに立ち尽くしていたら、俺の耳に聞き慣れた着信音が聞こえてきた。

「―……電話?」

一体誰からだろう。
愛用のシルバーの携帯を取り出して画面を確認する。




着信:“神様”




……………え〜と、これは……。
どうしよう。
すっごく出たくないなこの電話。

(“神様”って、ちょ、“神様”って!!)

不審過ぎる着信(どうやって電話番号を知ったんだろう)に、出ることを躊躇していると、少しして流れた簡単なメッセージ(某大手の携帯会社が行っているサービスだ)に目が引き付けられた。


“知りたいことを、全て教えてやる”


知りたいこと――ここはどこか、何故こうなったのか。
それを、全て知ることが出来る。

訳の分からない状況でパニックになりかけていた俺に、この電話に出ない理由が無かった。

通話ボタンを、押す。
緊張して早鐘を打つ心臓を落ち着かせるように一度深呼吸をして、携帯を耳に宛てた。

「…も、もしも《遅い!!いつまで待たせるつもりだ!!》…っす、すみません!」

その途端、年配の男の人の声で怒鳴られ、反射的に謝ってしまう。

《全く…、ただでさえこっちは忙しいというのに!相手の都合も少しは考えろ!!》
「すみませんっ、」

勢いに圧されて謝っているが、よく考えれば理不尽だし、実際相手の都合を考えるのは掛けてくる側じゃないんだろうか。
ついでに思った「“神様”なんて着信に出ることを戸惑うのは当たり前だ」という言葉はすんでの所で飲み込んでおいた。

《ふん、まあいい。取り合えず確認するが、お前は高科新で間違いないな》
「は、はい」
《よし。それじゃあ手短に説明するぞ。


 お前は世界の【壁】を越えた


それだけだ》

………………はい?
何か今、軽く理解を超える言葉を聞いた気がするんですが。
世界の【壁】?何ソレ。

《何か質問は。無いな、よし。じゃあ切る――「ちょ、ま、待って下さいまだ切らないで!!意味分かんないから!!」…ちっ、何が聞きたい》
「最初から全部です」
《……馬鹿な奴だな》

くっ…!コイツ腹立つ…!あんな説明で分かるわけないだろ!!

《あー、くそ。面倒臭い。良いか、一度しか言わないからよく聞いておけよ》
「はいっ!」



各々然々。



《分かったか?》
「…すみません一言言って良いですか」
《何だ》








「結局全部アンタのせいじゃねえかぁあああ!!!!」



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あきゅろす。
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