神様の憂鬱
いつかの朝
「新〜!朝よ!起きなさい!」
下の階から聞こえる、母さんの声で目を覚ます。
それと同時、枕元の目覚まし時計が鳴りだして、煩さに目を細めながらスイッチを切ったら、制服を適当に着て朝ご飯を食べるためにダイニングまで階段を下りた。
「おはよう」
「うん」
途中、リビングのソファで新聞を読んでいた父さんに挨拶をして(というか返事だけ)、母さんの待つダイニングへ。
直ぐにトーストとハムエッグの良い匂いが漂ってきた。
「はい、これとこれね。ジャムは何が良い?」
「ありがと、今日はいいよ」
「そう」
眠たさに目を瞬きながら、トーストの端からリスみたいにかじりついて、母さんが出してくれた牛乳で流し込む。
「…ごちそうさま」
朝ご飯を食べ終えたら食器を運んで、後は歯磨きやら何やら身支度をしてお仕舞い。学校の準備は昨日の夜に終えてあるから、鞄を持って玄関へ向かった。
「新、お弁当」
「うん」
母さんから渡された弁当を入れたのをしっかり確認してドアノブに手を掛ける。
「じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
見送ってくれる母さんの笑顔を見ながらドアを閉めて、学校へ向かう。
ここまでは、いつも通りだったんだ。
玄関を出て三歩、突然酷い耳鳴りがして、視界が歪む。立って居られなくなってその場にてうずくまった。徐々に大きくなってゆく耳鳴りに限界を感じたその時。
パチンッ、と何かが弾ける音がして、目に映る世界の全てが変わった。
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