Confusion!!(修正前)
4.
「珠音、俺からも1ついいかな?」
「? 何ですか?」
「俺、前に君に聞いたよね?
『君はダラーズを知ってるのか』って」
ああ。そう言えばそんな事もあった気がする。
「言いましたよ。それが何か?」
「どうして珠音は、その時に自分がダラーズに所属してるって事を教えてくれなかったの?」
え?
それは……
だって……
「聞かれませんでしたからね」
私が言うと、折原さんは珍しく少し悔しそうな顔をした。
「本当、君って面白いよね……」
悔し気に吐き出す彼の言葉は、ただの負け惜しみにしか聞こえなくて、私は思わず顔が綻んでしまった。
すると折原さんが、突然自分の両手で私の顔を挟んだ。
「笑った」
「?」
「珠音、今初めて俺に向かって心から笑ってくれた」
確かに……
その通りかもしれない。
「……貴方も、私の前で人間らしい顔したの、初めてですよね」
「……どういう事?」
「さっき悔しそうな顔してましたよ」
すると折原さんはチッと舌打ちをして、私の顔から手を放した。
「さて。全て終わったし……シャワー浴びて早く寝ようかな」
折原さんは立ち上がって浴室へ向かう。
しかし、チラッとキッチンを見つめて、
「……あれ?
君、まだ夕飯食べてなかったの?」
と聞いた。
「ああ、そう言えば、食べてませんでしたね、私」
「どうして?」
折原さんの整った顔が、じっと私を見つめる。
「ひ……1人で食べるより……
2人で食べた方が……良いのかなあ、と思いまして……」
私がボソボソと言い訳がましく言うと、折原さんは目を見開いて私を見つめていた。
今日は何だか得した気分だ。こんなにコロコロ表情が変わる折原さんを見られるなんて滅多にない。
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