Confusion!!(修正前) 3. 「じゃあ、次の質問、良いですか?」 「良いよ。 内容にも寄るけど」 そして彼は、再びソファに座り込む。 「えっと……張間美香さんの事は?」 私が尋ねると、彼はスラリと長い足を組んでから、「それなら、今から話してあげるよ」と言い、話し始めた。 ♂♀ 張間美香さんは、俗に「ストーカー」と呼ばれる者だった。 張間さんは、矢霧君に恋をしていたけれど、矢霧君が愛していたのは、セルティさんの生首。 張間さんの想いが彼に届く事はなかった。 ある日、張間さんは、矢霧君のマンションの部屋を勝手に開けてしまった。 そこで、張間さんは見てしまったのだ。 セルティさんの生首を。 矢霧君は、姉の波江さんがセルティさんの頭部を管理している事を知り、隙を見て盗み出して来たらしい。 そんな訳で、生首を見てしまった張間さんは、矢霧君によって殺されたー筈だった。 でも、彼女は死んでいなかったのだ。 そして、波江さんは、まだ張間さんが死んでいない事を知っていた。 その時、波江さんが何を思ったのか知らないけれど、張間さんの顔をセルティさんと全く同じ顔に整形させたらしい。 張間さんの整形手術をしたのは、岸谷さんだった。 岸谷さんは、セルティさんと同じ顔の少女を作り、いかにも無理やり首を繋ぎ合わせたかのように見せれば、セルティさんが首を探すのを止め、自分だけを見てくれるのではないか、と考えたのだろう。 波江さんは、張間さんの顔だけ整形したのでは後々必ず矢霧君にばれると考え、彼女の情動か記憶を消し去ろうとした。 でも……張間さんは、矢霧君を好きだという気持ちだけは失いたくなくて、研究所を飛び出した。 そして彼女は、偶然にも、セルティさんと出会ってしまった。 そして、どういう経緯だか折原さんは知らないらしいけれどー何故か帝人君が張間さんを保護した。 次の日、折原さんもセルティさんも、帝人君の所へ行ったらしい。 でも、帝人君が家へ着いた時ー既に張間さんは姿を消していた。 その時、折原さんは矢霧製薬のバンを発見した。 それから、帝人君の頭の中で全てが繋がりー今日、『ダラーズ』の初集会を開いたのだ。 「ー後は、君が知ってる通りだよ」 折原さんが話し終えると、部屋は何とも言えない空気に包まれた。 「……じゃあ、折原さんは、帝人君が『ダラーズ』のボスだって事を予め予想してたって事ですか?」 「まあね。予想ってよりかは、確信に近かったけど」 私の問いに、折原さんはそう答えた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |