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Confusion!!(修正前)
6.
「そういえば……」


波江はふと、臨也に質問をする。


「あの子の事も、全部貴方が仕組んだの?」

「あの子って?」

「珠音の事よ」

「ああ……その話?」


臨也は足を組んでからニヤリと笑って語り出す。


「まあ……半分正解、ってとこかな。正直、珠音がこの家を出て行った時は、流石の俺でも少し驚いたよ。あの子と昔話をしたんだけどさあ、俺は彼女に昔の話を切り出せば、俺の良い操り人形に出来るかと思ったのさ。甘い言葉を囁けば、簡単に俺の物になるだろうって。
でも、甘かったね。珠音は散々俺を罵倒してから此処を出て行ったよ」

「へえ……」


波江は僅かに声に驚きの色を含ませる。

ーただの臨也の気紛れに付き合わされてる暇潰し程度の女かと思っていたいたけれど……
ー案外芯があるのね、あの子。


「波江さん、今ちょっとだけ珠音に興味持ったでしょ?」

「そんな訳ないわ。私が興味を持っているのはいつだって誠二だけよ。
……それより、どうして戻って来たのよ、あの子。その様子だと貴方、散々あの子の事虐めたんでしょう?」

「……波江さん、やけに珠音の肩持つんだねえ」

「別に。貴方に弄ばれているだなんて可哀想だと思っただけよ」

「弄ぶだなんて酷い言われようだなあ」

「事実を言ったまでよ」

「……まあ良いや。
君の質問に答えるけど、俺は珠音に何も吹き込んでないからね?あの子が此処へ戻って来たのは、紛れもなくあの子の意志だから」

「疑わしいわね」

「いや、本当さ。逆に、俺があの子に色々ちょっかいを出していたら、今でも俺と珠音は顔を合わせなかったと思うよ」

「どうして?」


臨也は波江の疑問に、人差し指を突き出して返答する。


「彼女は、本当は自分でも解っていたからさ。『この街では、折原臨也がいないと、自分は生きていけない』ってね」

「……どういう事?」

「そのままの意味だよ。珠音は俺に依存しないと生きていけないのさ。だからこそ俺は、彼女が此処を出て行った時に思ったんだ。一度彼女と距離を作ってから、彼女自身が俺の存在の大きさに気がつくようにすれば、甘い言葉で誘惑するよりも、ずっと太くて重い鎖を彼女につなぐ事が出来る、ってね」


波江は暫く何も話さなかったが、


「……だから、貴方は珠音が一度此処を訪れた時に、居留守を繕ってわざとあの子を出て行かせたの?」


と尋ねた。


「その通り。その方が都合が良かったからね。
まあ、シズちゃんと珠音があんなに仲良くなったのは予想外だったけど。
珠音があの化け物の所に寝返るんじゃないかって少しは考えたんだけど……でもまあ、結局は珠音は俺から逃げられないって悟ったんだろうね。俺が予想してた以上に、俺に依存してるって事が解ったよ……これでもう珠音は俺から逃げられないし、あの子も俺から逃げようとはしないだろうね」


波江は臨也の恍惚とした表情を見て、それ以上は聞いていられないとばかりに臨也から顔を背け、一人ボソリと呟いた。


「臨也に目を付けられたなんて…可哀想な子ね……

逃げられないなら、毒でも盛って殺せばいいのに」



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