E 一同が辿り着いたのは、森の奥の洞窟のようなところだった。 「道が分かれてますね」 「そうだな」 「仕方ないな。それぞれ別れて行こう」 「私達はこちらに行きます」 「僕たちはこっちだな」 「じゃあ俺らはこっち!」 「行きましょう。リッド、ルーティ、ジーニアス。皆さん、気をつけて下さいね。特にレッドは無茶をしないで下さいね」 「わかってるって!」 「アルもですよ!あなたも意外と無茶をするのですから……」 「あ、ああ」 「あはは!ルキってお姉ちゃんみたいよねー!」 「そうだな!」 「では皆さん、またあとで会いましょう!」 そうルキが言ってルキ達はいなくなった。 「じゃあ俺らも!」 「行こう」 そしてレッド達とアルク達もいなくなった。 「ウィダーシン、どうしてボクを殺さなかったの?」 「殺してほしかったのか?」 「まさか!ただ、どうしてかわからなくて……」 ムヨが座り込んだまま尋ねる。ウィダーシンは返事を出来なかった。 「私は…………」 「私は?」 ムヨがウィダーシンを見上げるとウィダーシンはフッと目をそらした。 「……危険だな」 「え?」 「貴様には今ここで消えてもらおう!」 「え!?そうはさせないよ!ボクだって!」 「貴様は術師だろう?」 ウィダーシンは剣を構えた。 「させない!イラプション!」 「ぐっ!?」 ウィダーシンが突然の攻撃に対処出来ずにくらった。 「貴様!どうして詠唱なしでそんな技を!」 「アイシクル!」 「ぐっ」 「やっぱりこの程度の術じゃダメかぁ。なら!」 「させぬ!」 今度は詠唱を始めたムヨにウィダーシンが迫る。 「終わりだディセンダー」 「あなたがね!インブレイスエンド!」 ギリギリ詠唱を終えたムヨの術がウィダーシンに命中した。 「ボクはある程度なら詠唱なしでも発動出来るんだよ。少し威力は落ちちゃうけど当たればその間に対処出来るしね」 「ほう。わざわざ説明するとは余裕だな」 「え!?」 ムヨの背後にはウィダーシンが立っていた。 「終わりだ」 剣が振り上げられる。 「助け、て…… 」 「あれー!?道が分かれてる!!」 「見ればわかる」 遅れて到着したモルモ達。 「どっちに行けばいいんだ?」 「別れて行くか」 「そうだな」 「オイラは足手まといになっちゃうからここで待ってるよ」 「ああ。行ってくるな!」 「気をつけてね!」 モルモと別れてそれぞれの道に進んで行った。 すると、三人には同時に声が聞こえた。 「助け、て…… 」 「「「今のは!?」」」 そして全員が同じことを思った。 「「「ムヨが俺(僕)を呼んだ!!」」」 そして三人は何故かそれぞれ地面を破壊し始めた。 「「「こっちでムヨが待っている!!」」」 しかし、三人は遅れて到着したのだ。間に合うわけがなかった。 「助けて!レド兄!!」 ムヨが叫ぶとウィダーシンの頭上に影が現れた。 「助けに来たぜ!」 「くっ!貴様は!」 「レド兄!!」 「爆砕斬!」 攻撃を避けるためにムヨから離れるウィダーシン。 すると離れたウィダーシンを光が囲った。 「フォトン!」 「ぐぁっ!」 「リフィル!!」 「遅くなってごめんなさい、ムヨ」 「大丈夫か?ムヨ」 レッドが少しふらつくムヨを支えた。 「先輩、ムヨをお願いします」 「ええ。ファーストエイド」 「ありがとう、リフィル」 「いいえ。無事で何よりだわ」 「いくぞ!ウィダーシン!裂旋破!」 レッドが斧を振り回す。ウィダーシンはそれを容易く回避した。 「飛燕連脚!」 「ぐわぁっ!」 「セネル!!」 「大丈夫だったか?ムヨ」 「おのれ!」 「セネル!後ろ!」 「疾風!」 セネルに切りかかろうとしたウィダーシンを矢が仕留めた。 「チェスター!!」 「ぼーっとすんじゃねぇよ、セネル」 「悪い。いくぞ!臥竜砕!」 ウィダーシンがまたセネルの攻撃を回避した。 「残念だったな。俺もいるんだよ!獅子戦吼!」 「ぐわぁっ!!」 レッドの攻撃がウィダーシンを吹き飛ばした。 「さぁ、ここから出ましょう」 「ウィダーシンは?放っておくのか?」 「今は戦う時ではないわ」 「今回はあくまでもムヨの救出だからな。また、戦う時がくるさ」 「みんな、ありがとう!」 ムヨがにっこり笑った。 「さて、帰るか」 「ああ。カノンノが心配してたぞ」 「そうだ!ボク、カノンノといたんだ!」 そんな感じで一同は進み始めた。 「あ、あれみんなじゃないか?」 「ムヨは助けたぞー!」 レッド達がみんなに報告する中、ムヨが立ち止まって振り返った。 「ウィダーシン……あなた、本当はボクのこと、殺すつもりなんて……」 すると気絶していたはずのウィダーシンの目が開いた。 あと少し続く! [*前へ][次へ#] |