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「ムヨ?」
ムヨが一人でいなくなってしまったリオンを追いかけてきて、二人で協力して戦闘を終えて、ギルガリムをムヨが消滅させた直後のことだった。
突然ムヨがリオンに寄り掛かったのだ。
「ムヨ、どうしたんだ?」
いくらリオンが呼び掛けてもムヨの目は固く閉じられたままだ。
「仕方ねぇな」
二人以外は誰もいないはずなのに、突然声がした。
「誰だ!?」
「今出てくって」
急に得体の知れない声にそんなことを言われて、リオンは咄嗟に気絶してるムヨを庇うように抱き締めた。
「なんだよ、お前。嫌なヤツだと思って見てたけどいーヤツじゃん」
「どこにいる!」
「ここだって」
リオンが振り返ると、近くの木のてっぺんに美しい青年がいた。
「貴様は何者だ!ムヨに何かするつもりなら、僕が許さない!」
「へぇ。お前ホントにいーヤツなんだな。今そっちに行くから待ってろよ」
そう言うと青年は木の上から飛び降りた。
「なっ!?」
「よっ、と」
難なく着地して青年はニヤリと笑った。
「ソイツは働き過ぎで倒れたんだよ。まあ、もしかしたら結構ヤバい感じで力が弱ってんのかもしれねーけど」
「……貴様、何者なんだ?ムヨの知り合いか?」
「まあ、そんなもんか。とにかくよろしくな、リオン・マグナス」
「何故僕の名前を知っている!?」
「知ってるさ。オレはなんでも知ってる」
「……本当にお前、何者なんだ?」
「それはいいからムヨを渡せよ。お前、そんなボロボロじゃ運ぶのキツいだろ?」
「結構だ」
「あ、なんだ。いーヤツなんじゃなくて……そうかそうか」
「違う!」
「まあ、大丈夫ならいいけどな。早速ギルドに向かおうぜ」
「…………本当にお前は、誰なんだ?」
「オレはテレジア。テレジアだよ。よろしくな」
テレジアと名乗った青年はニヤリと笑った。
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