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「カノンノ!!」

急に呼ばれてカノンノは振り返った。

「レッド!チェスター!」

「カノンノー!!」

もう一つ聞こえた声にカノンノは走り出す。

そして走ってきたレッドとチェスターを無視してやってきた少女に飛び付いた。

「無事だったのね!ムヨ!」

「ごめんね!ごめんねカノンノ!心配かけてごめんね!」

「ううん、いいの!ムヨが無事ならそれで……」

「みんなも、おかえりなさい!」

「ただいま、カノンノ」

和やかな空気の中、露骨に落ち込んでいる二人がいた。

「カノンノー?」

「俺たちのことは無視かよ?」

「あ、ごめんなさい!二人もお疲れ様!」

そう言ってカノンノが笑うとレッドは少し恥ずかしくて目をそらした。

チェスターはそんなレッドに舌打ちすると、思い切りレッドの足を踏んだ。

「いってぇ!」

「うっせぇ。デレデレしてんのが悪いんだろ」

「別にデレデレなんてしてねぇし!」

言い争いを始める二人にカノンノはまた笑った。

「ありがとう、レッド」

「え?」

「『任せとけって!』って出て行ったでしょ?」

「あ、ああ」

「あなたはいつも、私を助けてくれるね。本当に、ありがとう」

「俺は、まだまだ……」

「ええ、そうね」

「そこ否定してくれよ!」

「あ、ごめんなさい!」

「二人とも、俺のこと忘れてんだろ」

「あ!ごめんなさいチェスター!」

「(……忘れてたことは否定しないんだな)」

そんな感じでいつも通りの日常が戻ってきた。




次の日、アイリリーのメンバーがのほほんとしていると勢いよく扉が開いた。

「ムヨさん!!」

「あ、アニー!」

突如、ガヴァダのギルドで受け付けをしているはずの少女が現れた。

走ってムヨに駆け寄るアニー。

「元気、そうですね……」

「うん!レド兄や、みんなが助けてくれたからね」

「そうなんですか。ご無事で、よかった……」

「アニー……」

泣きそうなアニーにムヨはなんだか嬉しくなる。

自分のことを想ってくれている人がこんなにも沢山いるんだな、と。

「よく、無事でしたね」

「ウィダーシンは本気じゃなかったよ。昨日は力の10分の1だって出してなかった」

「そうなのか!?」

ジーニアスと話していたロイドが突然話に入ってきた。

「だって、ボクを殺すならいつでも出来たのに……あの人はそれを、しなかったんだ。あの人は、ボクを殺せないんだって」

「どうしてでしょうか?」

「ボクに、助けてほしいんだと思うんだ。あの人は自分が間違ったことをしてることなんかとっくにわかってる。ただ、そうするしかなかったんだと思う」

「……ムヨさん、もしかしてウィダーシンの味方にまわりたいんですか?」

「有り得ないよ。だってボクは、この世界がみんなが好きだから!」

そう言ってムヨはにっこり笑った。

「ボク達は、もっともっと強くならなくちゃ!ね、ロイド!」

「そうだな」

「あっ!!」

「どうしたの?アニー」

「セネルさんに受け付け任せたままなんです!もう戻りますね、ムヨさんにロイドさん」

「うん!ありがとう、アニー」

そしてアニーはガヴァダへ帰って行った。

「じゃあ俺はレッドと修行にでも行ってくるかな」

「え?」

「強くならなきゃお前を守れない。だろ?」

「あ、うん」

「だからお前のヒーローと行ってくるな!」

「いってらっしゃい!」

ムヨは手を振ってロイドを見送った。

「……ボクのヒーローは、レド兄だけじゃないんだよ?」

そう言ってムヨは少し頬を赤らめて笑った。




END





まやっと終わったー!!



















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