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永久の忠誠を
11
霧が、あの頃の名を与えて居る少女。クローム・髑髏。
ずっと気になっていたけれど、彼女とはなかなか話す機会がなかった。
可愛らしい子だから、お話してみたかったのだけれど、入れ違いばかり……

そんな折、珍しく談話室で彼女と二人になった。
どう切り出すか考えながら紅茶を淹れ、彼女へと差し出してみる。

「どうぞ」

「・・・ありがとう」

こくりと飲んだ彼女は小さく、美味しいと呟いてくれる。
私は自然と顔が緩み、ほっと胸を撫で下ろした。
ジョット様がお褒め下さった味だ。少しだけ自信があったのだ。

「霧と……ああ、骸とよく似た綺麗な髪だ」

霧であるのは彼女も同じ。
まん丸の美しい瞳がこっちを見て小さく首を傾げたので、私は言い慣れぬ霧の名を呼んでしまった。
それでも彼女は小さく俯く。
さらりと髪が揺れて、瞳を隠した。

「ありがとう……」

じっと私を見て、少し考える様に瞳を動かす。
そして言葉をつまらせているようだ。
どう呼ぶか考えているのかと思って、私は微笑んで見せた。

「カルツォルネだ。ルナと呼んではくれないか」

「ルナ、あのね……ルナは、骸様と知り合いだったの?」

言いにくそうにカップを口に添えて、伺う様に目線を上げて私を見る。
骸が彼女に自分の事をどれだけ告げているのか解らないから、私はしばし考えた。
言われてほしくないことを私が言う訳にもいかないし……と、よく言葉を選ぶ。

「昔、共に居たことがあるだけだよ」

「あの……ね?骸様が、言ってたの。ルナには近付いちゃダメって」

あの男はまったく……
どうして?と可愛らしく首を傾げてみせるクローム。

私はついつい、微笑んでしまった。
彼女はまったく、純粋で美しい。

「クローム。骸は過保護だ。君に悪い虫が付かない様にしたいのさ」

あいつがジョット様以外に過保護だった所を見たことがない。
けれど現代のあいつは随分変わっていた。良い方向に。
そしてこの子と、あの二人の男の子をとても可愛がっている。

そして骸曰く、『誰彼構わず、無意識に口説く』私は、彼女の天敵扱いされていたらしい。
まったく、失礼な男だ。
こんな可愛らしくて、お前を想っている子が、私になど靡く筈がないだろうに……

「そう、なの……」

「ああ。でも、また話してくれると嬉しい」

「えっと」

ほらな。
この子はお前の言いつけを守ってるじゃないか。
まったく……可愛いったらない。

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