Long 『HUNTER×HUNTER』
7
じっとその人は俺を見てから、炎狼を見やる。
ああああ…こんな事なら、何もしないで普通に歩いていけば良かった。
絶、まではいかないかな?よく解らないけど、気配を絶ちながら歩いていた所為で、逆に怪しまれてる。
「随分と、絶が上手いんだね」
ああ、やっぱり。
最近の俺、本当に注意力散漫。
「いえいえ。あなた程では」
あくまで表面上はニッコリと穏やかに笑って言い返す。
気付かれたらまずい事が、現状の俺には多すぎる。
「その狼は、念かな?」
やっぱり、見る人が見ればばれちゃうんだよなぁ…
俺はさり気なくため息を吐いて、首を傾げる。
「さあ?ただの、友達だよ」
すすっと撫でれば、炎狼は嬉しそうに目を細める。
同意を求めるように、ね?と言って首を傾げてみせる。
「ふぅん…そうだ。一緒に来ない?」
どこに、とは聞かない方が良さそうだ。
俺は少し考えると、携帯を取り出した。
「友達に連絡入れるから、少し待ってて」
その人が頷いたのを確認すると、ゴン達に電話した。
さっきはどうしたの、とか言われたけど、ごめんとだけ返した。
そして別行動させて、と。
レオリオが代われと言ったのが聞こえて、俺は慌てて電話を切った。
さっきの事もあって、何かに気付かれそうだったから。
「いいの?」
「うん。あ、炎狼。ゴメンね、帰ってて?」
寂しそうに鳴いた炎狼に、俺はもう一度だけ謝った。
最後に笑って、また後でと言う。
すっと消えた炎狼を見た彼は、面白そうに感嘆の声をあげた。
「へぇー…具現化系?」
「さあ、どうだったかなぁ」
くすっと笑って答えたら、その人の隣に移動する。
またふうん、と言ったその人は歩き出す。
隣に並んで歩いたら、くるっと振り返って目を向けられる。
「名前はなんて言うの?」
先に情報を与える気がない俺は、そのままその人に返す。
その人は苦笑して、そうだね、と。
「僕はシャルナーク。シャルでいいよ。はい、君は?」
「・・・ユウキ」
よろしく、なんて言われて、俺はぽかんとしていたことだろう。
なんか、普通に笑って手を差し出されたんだけど。
調子狂うなぁ…
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!