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Long 『HUNTER×HUNTER』

通りを流れゆく人達は、ほとんど一般人。

マフィアの関係者とか、その護衛らしき人とかも居るけれども、そんなのには今回は価値はない。情報としてはね。

「こちらA地点、標的通りません。そっちは?」

「同じくB地点。標的発見できず」

「C地点標的現れず」

「D地点…標的は居ません」

ぷつっと切れた音を確認して、俺が寄り掛かった壁の先に居る奴にさり気なくため息を吐いた。

少し先の壁(曲がったすぐの所)になぜだかヒソカが居て、こっちに意識を向けているらしい。
しばらく気付かないふりを続けたけど、どこかへ行く気配はしない。

「なんで居るの?」

「さあ?」

まあ、答えるとは思ってなかったけどね。
ただ、言えないのなら何故、其処にいて俺に解るようにしてるんだ。

俺はため息を吐いて、時間を確認した。
まあ、まだ集合までは時間あるし…いいか。

っていうか、ヒソカもきっと標的の仲間?だろうけども。
恐らくだが、ヒソカが蜘蛛だろう事も、蜘蛛としてこの街に居る事も…想像はしてたけどね。

だって、ヒソカの部屋から出てきた人は、あの写真の中に居たんだから。
恋人、の線が薄くなっていってホッとしたなんて…思いたくは無いけれど、思ってしまったものはしょうがない。

思い出したらため息が出た。
何を考えてるんだ、俺は…

「どうかした?」

「…さあね」

目の前に移動してきたヒソカを見て、またため息が出る。

ふざけるな。
俺は恋する乙女でも何でもないんだからな。
・・・アホか!!
自分の考えに何突っ込んでんだ…

「何考えてんだ…」

ぐしゃぐしゃと頭をかき回したら、ヒソカは寄り接近して来た。
否、目立ったら不味いんじゃないか?

また鳴った携帯に出て見たら、そろそろ集まろうって事で。
ちらっとヒソカを盗み見ても、意図は読み取れない。
ヒソカから時計に目を戻したら、確かに集合時間間近。

「じゃあ、俺は行くから」

「そう…またね」

・・・むかつく。



ゴン達との集合場所に行く途中に炎狼を拾って行く。
炎狼には少し離れた場所で、見張っていて貰っていた。
建物の影で、犬のようにして。

『やっぱ、見つからなかった?』

『うん。…ヒソカと、会ったの?』

ひくっと鼻を動かして、俺の匂いを嗅いでいる。
やっぱりヒソカを好きになれないのか、炎狼はすぐに嫌そうに眉間に皺を寄せてしまった。

『ごめんね』

ふるふると頭を振った炎狼は、1回くしゃみをしてから、俺にすり寄ってきた。

・・・ごめんね。
もう認めてたけど、やっぱり…ヒソカを好きなのは、止められないみたい。

この気持ちを告げたりは絶対にしないから…

『許してね…?』

『?うん、いいよ?』

俺は首を傾げた炎狼に苦笑して、待ち合わせ場所に走った。

そうだよ。
今はそんな事、考えてられない。

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