Long 『HUNTER×HUNTER』
5
通りを流れゆく人達は、ほとんど一般人。
マフィアの関係者とか、その護衛らしき人とかも居るけれども、そんなのには今回は価値はない。情報としてはね。
「こちらA地点、標的通りません。そっちは?」
「同じくB地点。標的発見できず」
「C地点標的現れず」
「D地点…標的は居ません」
ぷつっと切れた音を確認して、俺が寄り掛かった壁の先に居る奴にさり気なくため息を吐いた。
少し先の壁(曲がったすぐの所)になぜだかヒソカが居て、こっちに意識を向けているらしい。
しばらく気付かないふりを続けたけど、どこかへ行く気配はしない。
「なんで居るの?」
「さあ?」
まあ、答えるとは思ってなかったけどね。
ただ、言えないのなら何故、其処にいて俺に解るようにしてるんだ。
俺はため息を吐いて、時間を確認した。
まあ、まだ集合までは時間あるし…いいか。
っていうか、ヒソカもきっと標的の仲間?だろうけども。
恐らくだが、ヒソカが蜘蛛だろう事も、蜘蛛としてこの街に居る事も…想像はしてたけどね。
だって、ヒソカの部屋から出てきた人は、あの写真の中に居たんだから。
恋人、の線が薄くなっていってホッとしたなんて…思いたくは無いけれど、思ってしまったものはしょうがない。
思い出したらため息が出た。
何を考えてるんだ、俺は…
「どうかした?」
「…さあね」
目の前に移動してきたヒソカを見て、またため息が出る。
ふざけるな。
俺は恋する乙女でも何でもないんだからな。
・・・アホか!!
自分の考えに何突っ込んでんだ…
「何考えてんだ…」
ぐしゃぐしゃと頭をかき回したら、ヒソカは寄り接近して来た。
否、目立ったら不味いんじゃないか?
また鳴った携帯に出て見たら、そろそろ集まろうって事で。
ちらっとヒソカを盗み見ても、意図は読み取れない。
ヒソカから時計に目を戻したら、確かに集合時間間近。
「じゃあ、俺は行くから」
「そう…またね」
・・・むかつく。
ゴン達との集合場所に行く途中に炎狼を拾って行く。
炎狼には少し離れた場所で、見張っていて貰っていた。
建物の影で、犬のようにして。
『やっぱ、見つからなかった?』
『うん。…ヒソカと、会ったの?』
ひくっと鼻を動かして、俺の匂いを嗅いでいる。
やっぱりヒソカを好きになれないのか、炎狼はすぐに嫌そうに眉間に皺を寄せてしまった。
『ごめんね』
ふるふると頭を振った炎狼は、1回くしゃみをしてから、俺にすり寄ってきた。
・・・ごめんね。
もう認めてたけど、やっぱり…ヒソカを好きなのは、止められないみたい。
この気持ちを告げたりは絶対にしないから…
『許してね…?』
『?うん、いいよ?』
俺は首を傾げた炎狼に苦笑して、待ち合わせ場所に走った。
そうだよ。
今はそんな事、考えてられない。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!