Long 『HUNTER×HUNTER』 16 「・・・そうか」 あいつの話しを詳しく聞いてたが、やはりどうもおかしい。 移った世界が楽しくて、前居た世界での嫌な記憶を、脳の奥深くに封印してしまった例なら、いくつかある。 だが、その代わりの記憶が出てくるなんて…ありえない。 誰かが、俺の世界に干渉している…? ふん… なら、受けて立とうじゃないか。 俺のクライアントだ。 最後まで面倒を見るのが、筋ってもんだろう。 「解った。記憶は、俺がなんとかしよう…今は、どうだ?」 どうだ、と聞かれて、俺の人生を振り返ってみる。 あれ? 消えていたはずの子供の頃の記憶や、嬉しかった事、嫌だった事… こっちの世界での記憶が全て戻っている。 この世界に、帰ってきたから…? 「今は、全て俺の記憶だ」 「…そうか。なら、それを俺が記録しておく。お前に異変が見つかったら、会いに行ってやる」 偉そうに言ってるけど、内容は俺の為のものだから、文句をつけられない。 握られた手が、俺の方に突き出されて、腕が伸びきった所で開かれる手。 しゃらんっと音を立てて手のひらから伸びたのは、不思議な形をした鍵のついた首飾り。 「何コレ」 「鍵だ。この世界への扉が開ける」 「ふぅん…ありがと」 早く受け取れとばかりに、更に突き出されたそれを俺は苦笑混じりに受け取る。 手のひらにちょうど全部隠れるかどうか位の大きな鍵で、俺は促されるままにそれを首に掛けた。 「では、また行くが良い」 「あ、待って!」 「またか」 そう言えば、初めての時も俺はストップ掛けた気がするなぁ(笑) だって、一応聞いとかないと、だろ? 「さっきはさ、こっちでリアルタイムに時が進んでたけど、今度も?」 「さぁな」 わかんないのかよ… しかもまたあの場所で倒れてたとかなったら、変な噂をたてられそうだなぁ; まあでも、もう戻ってこないだろうからいいんだけどね♪ 「じゃ、お願…」 えー。 台詞の途中で、送るか?普通。 あいつの望んだM-00452の箱庭へと、さっさと送った。 …話しの途中だった気がしないでもないが、まあいいだろう。 何故なら、時間の流れが前とは違うから、ここに長居はさせられない。 この世界も、俺の箱庭。 何人たりとも、俺の箱庭を荒らさせやしない。 俺は、もしかして何かを間違ってるんだろうか? 俺の箱庭は、俺の物だ。 だが、もしかしたら、俺自体誰かの物で、そいつの箱庭の中に居るのかも知れない… それとも、別の箱庭番の奴が、俺の箱庭にちょっかいをかけただけの事だったのか…? まあ、あいつは面白そうだ。 たっぷり、観察させて貰うか… [*前へ][次へ#] [戻る] |