時計
ときどき
『はぁ・・・。』
今日何度目になるかわからないほど、溜め息をついた気がする。
時は流れ、今は放課後。
部活真っ最中だ。
最近ごっそり部員が辞めたため、マネージャーで唯一残った私の仕事は、倍以上に増えた。
やっと仕事が一段落し、ベンチに座り項垂れた。
そして、
『はぁ。』
溜め息をついた。
「大分疲れてるみたいだな。」
不意にかけられた声に胸が高鳴った。
『み、南沢先輩。』
「タオル。」
『あ、はい!』
どうやら少し休憩するようだ。
「お前、よく辞めなかったな。」
『・・・私、この前の試合で漸くわかったみたいです。皆がどれだけ大変な思いでサッカーやってるのか。』
「・・・。」
先輩は部員が辞めていく時、内申のためと言っていた。
だけど実際、サッカーのことは好きなはずだ。
だって、好きでもないことを内申のためだけにやるなんてことはしないはずだ。
『私たちが見ていて、辛かったり悔しかったりする、その何倍も先輩たちは辛いんだって。だから、私は辞めなかったんです。』
すいません、今更気づいて。
私は苦笑いで先輩に言った。
「・・・お前も、」
『?』
「お前も頑張れよ、朝夏。」
そう言って先輩はグラウンドに戻って行った。
そういう時々見せる優しさに惹かれてしまうんだ。
(ずるいよ、先輩は)
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!