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頬に小さな口付けを(亮十)
 穏やかに眠る君の頬に

 ここはオベリスクブルー寮。十代の恋人、丸藤亮の所属寮。十代は時々この寮を訪れては亮との逢瀬を楽しんでいる。

 十代は一度、玄関で手ひどい歓迎を受けてからは、窓から尋ねるようになった。いつも危ないとは言ってはいるが、十代はそれでも入ってくる。
 そして、亮との逢瀬はいつもデュエルから始まる。それか分からない宿題を聞く。その後は恋人同士らしい、逢瀬も行っていた。

 だが、亮は提出期限が迫った課題があったため、十代は大人しく待っていた。十代も持参した宿題をし、終わった後はデッキの組み直しを行っていた。30分ほどだろうか、亮は課題を終えて十代の方へと向いた。

「十代、終わったぞ。十代?」

 聞こえてくるのは、穏やかな寝息のみ。十代はベッドの上で眠っていた。

「待ちくたびれてしまったか…」

 亮は座っていた椅子から立ち上がり、うつ伏せになって眠る十代の体を息苦しくないように仰向けにし、閉じられた瞳にかかった琥珀の前髪を払った。

 あどけない寝顔。薄く開けられた唇。眠っているためか体温が高い。
 二つしか年は違っていないというのに、十代の寝顔はどこか子供のようだった。

 亮は可憐な唇に甘いキスをしたいと思ったが、あどけなく眠っている彼女にするのは、まるで幼い少女をこれから襲う犯罪者のようで、少し気が咎めた。

 ならば、と亮は眠る十代の頬に軽く触れるだけのキスを送った。そのキスを送ったとき、十代の顔が嬉しそうに微笑んだ。

「…起きたら、もっと甘いものを送ってやるから」

 亮は微笑みを浮かべながら再び頬にキスを落とした。そして、十代の横に寝転がると、亮もまた眠りの世界に落ちていった。

 次の日、自分の隣で穏やかに眠る亮を見て十代が吃驚し、その声がブルー寮内に響いたのは、またまた、別のお話。

頬に小さな口付けを
(君に穏やかな眠りが続きますように)
(その稚拙なキスに君は微笑んでくれた)

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