望んで私は一人になった(十代独自)
俺は、たくさんの人を傷つけた。
俺は己に眠る闇の力に飲み込まれ、覇王と化した。
覇王となった俺は、多くの人を傷つけた。多くの人を消した。
俺の闇の力のせいじゃない。覇王のせいじゃない。俺の心が、弱かったせいだ。
ヨハン、ジム、オブライエン…そして、俺を拒絶した皆
ごめん、ごめん、ごめん… いくら言っても許してもらえないだろう。
何度俺が笑いかけても、皆は笑ってくれないだろう。
俺が傍にいても、皆幸せになってくれないだろう。
だから、俺は望んで一人になった。それで、皆の顔に笑顔が戻るなら、俺は喜んで一人になろう。
もう一度、孤独の闇の中に帰ろう。
今度は二度と、外の光に憧れないように、愛する貴方の手で、俺を縛る鎖に鍵を掛けて?
……………
人々は、ある不幸の訪れを一人の少女のせいにした。
人々の幸せを願った少女は、己から望み、一人となった。
だが、その少女は、誰よりも一人を恐れる者だった。
だからこそ、皆に“独り”になって欲しくない。
たとえ、全ての人が少女を蔑んでも、少女は人々の幸せを願った。
そう願い、少女は深い闇の奥へと消えた。
だが、少女が消えた事で、残っていた幸せも音を立てて崩れ去った。
全ての幸せは、少女がいるからでこそ、成り立っていた幸せだったのだ。
人々は少女を蔑んだ事を深く後悔したが、時は既に遅く、少女は人々の手の届かぬ、闇の奥へと隠されてしまった。
……………
望んで私は一人になった
(俺はもう、誰も傷つけたくない)
(だからお願い、貴方の手で孤独の闇に突き落として)
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