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寂しい想いを隠して…(亮十・十代独自)
 月日が経つのは 楽しい時ほど早くて

 そろそろ卒業のシーズンが近づいてくる。
 その年、卒業するのは亮たち三年生。亮はここを卒業したら、すぐにプロの世界に入るらしい。

 そうだとしたら、俺と会える時間も少なくなってしまう。
 亮は落ち着いたら連絡をする、って言ってくれたけど、寂しいのは変わりなくて…柄にもなく涙が出そうになる。

『十代…』

 バーストが心配そうに声をかけてくれる。今まで俺の中になかった感情。それを教えてくれたのもバーストだった。

『泣きたい時はおもいっきり泣きなさい。それに、選ばれたのでしょう?』

 そう、俺は亮に選ばれたのだ。在校生代表として、亮と最後のデュエルをする事に。

『だったら、涙顔を相手に見せないの。今はおもいっきり泣いて、あいつの前では笑顔でデュエルしなさい』

 傍から聞けば、厳しい言葉だけど、俺にとっては最高の励まし言葉になっていた。

「ああ、そうだよな。亮に心配はかけられねぇ」

 俺をこの学園に残して行く亮も、きっと俺と同じ事を思っている。
 涙を、見せちゃいけないと思った。

『その意気よ、十代。私たちも応援しているからね』

 バーストは笑ってデッキの中に入った。きっと、気を利かせてくれたのだろう。

「うぅ〜…っ」

 俺は枕に突っ伏して、おもいっきり泣いた。涙が枯れるくらいに泣き続けた。

……………

 次の日、目の赤みと腫れも治まった俺は、大講堂で亮と対峙した。
 俺は全ての持てる力を結集して、亮と戦う。それが亮に対する敬意だから。

「行くぜ!カイザー。いいや、亮!!」
「ああ、いつでも来い!遊城十代!!」

 俺と亮はお互いのデッキに手をかけた。亮のDAでは最後のデュエル。
 プロとなる亮に、最後の餞として送るためのデュエル。

「「デュエル!!」」

寂しい想いを隠して…
(寂しい想いは、自分も一緒だから)
(だから、今は隠して戦いましょう。貴方に敬意を払うために)

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