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恋悩み(十代+三沢)
 胸の動悸、体温の上昇、集中力の低下…

「俺…何かの病気かも…」

 屋上で柄にも無く溜息をついた十代。横には驚いた表情の三沢がいる。
 三沢は小学生の頃からの幼馴染で博識、口が堅いため、相談相手になる事が多い。

 家族(精霊)に心配させたくないという十代の気遣いで、彼らがいない時間帯を狙って三沢と連絡を取り、彼ら以外誰もいない場所で十代は相談にのって貰っていた。

「病気?何故そう思う、十代」

 三沢は驚いたように目を瞬かせて、十代に聞き返した。十代はこれまでに病気という病気は一つとしてした事が無い。それは幼馴染として近くにいた三沢には、よく分かっていた。

「俺、変なんだよ」
「何が?俺から見たら普通だが…」
「いつもは普通なんだ。でも、なんか妙に胸がドキドキしたり…」
「ふむふむ…」
「急に顔が熱くなったり…」
「ふむ…」
「デュエルにも集中できなかったり…」
「デュエルにも、か?」

 確かにデュエルに一途な十代がデュエルに集中できないとは一大事だ。

「俺…どうしちゃったんだろう…」

 溜息をついて落ち込む十代。だが、三沢はその感情が何であるのかが分かってきた気がした。

「…十代。俺といる時はどうなんだ?」
「何が?」

 怪訝そうに聞いてくる十代に、三沢は言葉が足りなかったと言い直した。

「体の調子だ。どんな感じだ?」
「?別に、普通だけど」
「翔や隼人といる時は?」
「普通」
「万丈目といる時は?」
「デュエルしてぇと思う」
「じゃあ…」

 三沢は一呼吸を置き、一人の名前を出した。

「カイザー。丸藤、亮といる時は?」

 カイザー、その単語が出ただけで十代の顔は真っ赤になった。

「え、えっと……体調が、悪くなる……」

 途端にしどろもどろになる十代。三沢は十代の病名を確信した。

「十代、病名が分かったぞ」
「え、分かったのか?! 三沢、医者みてぇだ!で、病名は?」
「ああ、耳を貸せ、十代」

 三沢は十代の耳元でその病名を言った。

「…え、マジ?」
「俺は至って大マジだ。十代、お前の病名は…」

病名:恋悩み 治療法:不明

恋悩み
(恋悩みという病気はとても厄介)
(医者でも草津の湯でも直らない)

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あきゅろす。
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