魔法少女リリカルなのはA's+
C1
「なぁフェイトちゃん」
「うん?どうしたのはやて」
なのはと別れた後元々一緒にいたはやてが木陰から声を掛けてきた。
一緒にこないの?と聞いたら意地の悪い笑みを浮かべて「夫婦の仲に水を挿すことなんてできへん」と言われたのは別の話し。
「なのはちゃんがかなでを探してるって気付いとったのに、なんで手伝ってあげへんかったん?」
もっともな疑問だろう。
「うん・・・。なのはは変なところで頑固だから、手伝うって言ってもきっと断られちゃうと思うんだ。」
きっとそう。
なのははいつだって一人で悩んで、苦しんで、それでも答えを見つけて先に進むんだ。
だから私に出来るのはそれを陰から支える事だけ。
「・・・そっかぁ、やっぱりなのはちゃんとフェイトちゃんは似た物同士なんやなぁ・・・二人とも変なところで頑固や。
ほんとは手伝いたくてうずうずしとるくせに」
はやてが感慨深そうに呟く。
反論したかったけど、そう言われるのは悪い気がしなくて、
「はやても似た物同士だよ。」
と言っておいた。
「あーあ・・・うちもデバイスさえあれば・・・」
先ほどとは打って変わって悔しそうに陰を落とすはやて。
リーンフォースが消えてから1年余り、はやては未だに新しいデバイスを持ってはいなかった。
使おうと思えばどんなデバイスでも使えるのに、だ。
それは、同じタイプの書が中々見つからない事もあるが、大半はリーンフォースの事を引き摺っているからだろう。
「ごめん、失言やった。失言やったから、いつまでもそんな顔しとると怒るで?」
「うん・・・。」
思った事が顔に出ていたらしく、はやては健気に微笑むといつもと変わらない口調でそう言った。
「それにしても・・・なのはちゃんばっかり良い事するのはずるいと思うんよ・・・」
「は・・・はやて・・・?」
背筋に悪寒が走り、はやてから距離を置く。
「なんで逃げるのかなー、フェイトちゃん?」
はやては手を怪しくワキワキ動かしながら迫ってくる。
「え?・・・え?はやて?はやて!?」
背後に黒いオーラを見た気がして、目が潤んできた。
「フェイトちゃん、覚悟やっ!」
はやては私にガバっと覆いかぶさり、木陰に引きずり込んでいく。
「〜♪〜〜♪〜〜〜♪」
ニコニコ鼻歌を歌いながら私をひっぱるはやてが、途方もなく恐ろしい。
「――っと冗談はこの辺にしといて、がんばりや…?なのはちゃん」
急に真面目に戻ったはやては、なのはが去った方を向いてそう呟いた。
はやてはこんなだけど、友達思いだ。
さっきの行動だってはやてとリインフォースの事で、私に心配を掛けないように誤魔化したに過ぎない。
誤魔化し方にちょっと問題があるけど。
「なのはなら大丈夫。」
はやてと同じく、なのはが去った方を向く。
「そうやね」
「うん。そうだよ」
顔を見合わせて微笑んだ。
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