魔法少女リリカルなのはA's+
C2
直撃の瞬間プロテクション生成がなんとか間に合ってくれた。
視界が桜色の光に蹂躙され突き出した手から激しい衝撃が伝わってくる。
「くっ!……なんて威力、です!?それにコレは……バリアブレイク付加、ですかっ!?」
言葉通り現在進行形でピシピシとヒビが入り今にも砕けそうだ。
「――っ…。プロテクション。プロテクション。プロテクション!」
上書きに次ぐ上書きにより何とかなのはのディバインバスターを防ぎきった。だが急拵えとは言え、たった一度の砲撃で4回もバリアブレイクされてしまった事に少なからずショックを受けてしまう。
「…はぁ…はぁ…はぁ…」
はっきり言ってしまえばなのはとの相性は最悪。
遠距離からの大威力砲撃だけならなんとかなるかもしれないが、プラスでバリアブレイク能力……
えげつない。
まるで天使の顔をした悪魔。
何気なく考えた事だったが妙にしっくりきたのがおかしく、肩で息をしながらクスクス笑ってしまう。
息がとまり苦しくなったのはお約束。
なのはは未だに超遠距離で砲撃の余韻に浸っている。デバイスから圧縮された魔力の残骸がダストのように吐き出た。
――来る!と思ってすぐ、ご主人が居た方角から爆音が空気を震わせた。
なのはも驚き攻撃を一旦止めて爆音の元を見ているが雪が舞い上がり状況は一切把握出来ない。
心配じゃ無いと言えば嘘になるけどきっとご主人は大丈夫。
しかし早くご主人の元へ行き無事を確認したいのも事実。
同じタイミングで向き合う。
どうも同じ結論に至ったみたいで表情が少しだけ険しくなっている。
ラウンドシールドを二つ作り攻撃に備えなのはを見据え隙を伺う。
「…マイスターデボーテ…」
「アクセルシューター!」
作った内一つのラウンドシールドを投げ放つ私に対して、なのは一息でさっきの倍、12の魔力球を速射。完全に迷いは消え、私を倒して話を聞く事に専念しているようだ。
互いの攻撃を互いのシールドが防ぎ言葉なく睨みあう。私の息は上がっているのになのはは息すら乱してはいなかった。
力の差は歴然としか言い様が無く、
――もっと強ければ。
――満足に攻撃魔法が使えれば。
と、己のフガイナサに心が折れかける。泣きそうになるのを必死に堪えた。
…ご主人
はまだ戦ってるはず、ですよ。だから…私もまだ戦える、です。
眼前の敵を睨み、ムンと気合いを入れた時
『すぐそっちに行く!』
いきなりご主人が念話でそう言っててきた。
驚いた私の耳とシッポがビクッと跳ね上がりなのはが不思議そうにしているが知った事ではない。
私はご主人の少ない言葉から言いたい事を理解した。
……もしかして私って良い奥さんになれる、ですか?
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