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魔法少女リリカルなのはA's+
A2


「ちょっと聞きにくいんだけど昔から目は悪かったの?」

何気ないなのはの一言。
思い出そうとした瞬間意識が遠くへ飛んだ気がした。

あれは確かエセルドレーダと出会う少し前、当時所属していた組織で私は新しく開発されたデバイスの所有者に選ばれた。
特別魔力が高い訳ではない。優秀な人材なら他に腐るほど居たはずだ。疑問を感じるのは当然。
だが何故私が選ばれたか、理由はすぐに判明した。

デバイスの不確定要素が多い中での起動実験。
優秀な人材を裂く事を良しとしなかった組織は独り身で、資質も平均かそれ以下の私を実験体として選んだのだ。

結果として起動実験は失敗に終わる。
「術者とデバイスの性能を最大限に引き出す」がコンセプトであったシュネーヴァイスはあろう事か術者への等価交換を望んだのだ。

その条件は術者のなんらかと引き換えに力を授けるというものだった。
実験体にされ組織への疑心を感じていた私はその条件を呑み、シュネーヴァイスを我が物とし…

――まて、なんだこの記憶は。僕はこんな記憶しらない。


突然何も話さなくなったであろう僕に、なのはのいぶかしむ様な視線が向いている。

「――んぁ、あぁ、ごめんぼーっとしてた。目は3年前位から悪くなったと思う」

「もぅ…かなでちゃんって良くぼーっとするよね?別に悪いとは言わないけど、ちょっと寂しいかも。…かなでは何か聞きたい事あるかな?」

僕の返事に深くため息を吐き、呆れた様にそう言ってきた。

それならと前々から思っていた質問をする事にする。

「そう言えば前から思ってたんだ。なのは達は何で僕なんかに構うの?こんな目が悪いやつより楽しく遊べる子が居ると思うんだ」

本当に理解できなかった。
それは本当に純粋な疑問。
かなでにしてみれば、ただ解らないから聞いてみた程度の内容のはずなのに、なのはは驚いたように目を見開いて固まってる。

「なんでそんな事聞くの?友達だから一緒に遊ぶのはあたりまえだよ。それに自分をそんな風に言うのは嫌だよ」

悲しそうに目を伏せる少女。


こんなに嘘にまみれて、何一つ本当の事を話していない奴なのに?
事実を知らないとは判って居ても、苦虫を噛み潰した気分だった。これはきっと表情に出てるだろう。


「……どうしたの?もし悩みがあるなら聞かせて欲しいな」


「――っ。悩みなんて無い。悪いけど今日は帰らせてもらう」


「かなでちゃん…そっか、解った。でも悩んでるならいつでも相談にのるから」


「うん。ごめん。ありがとう。」


僕は悪い奴で夜な夜な魔道士狩りをしてますなんて言えるはずが無い。

はっきりと解る。
僕は…皆との関係が壊れるのを

――恐れている。



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